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手広い
「手広い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手広いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
――何でもそう云う話だった。
「そうすりゃここにいなくとも好《い》いから、どこか
手広い家《うち》へ引っ越そうじゃないか?」
牧野はさも疲れたように、火鉢の前へ....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
っすぐに梯子を下りた所が、ぎっしり右左の棚の上に、メリヤス類のボオル箱を並べた、
手広い店になっている。――その店先の雨明《あまあか》りの中に、パナマ帽をかぶった....
「或る女」より 著者:有島武郎
杉《すぎ》、松、その他の喬木《きょうぼく》の茂みを隔てて苔香園《たいこうえん》の
手広い庭が見やられていた。きのうまでいた双鶴館《そうかくかん》の周囲とは全く違っ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
をたくさん持っている大百姓で、店の右の方には大きい門があって、家の構えもなかなか
手広いようです。店の方と畑の方とを合わせると、奉公人が四五十人も居るということで....
「仇討禁止令」より 著者:菊池寛
「蘆沢様に、お世話になっております」 「左様か。拙者の屋敷も、御覧の通り無人で
手広いから、いつなりともお世話するほどに、明日からでもお出になってはどうか」 「....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
包みこんで帰って行ってしまった。 君を木戸の所まで送り出してから、私はひとりで
手広いりんご畑の中を歩きまわった。りんごの枝は熟した果実でたわわになっていた。あ....
「白蛇の死」より 著者:海野十三
だ!」 それは何んとも言えなかった。 一体お由は、今戸町に店を持っている相当
手広い牛肉店|加藤吉蔵の妾兼女房なのであった。が、悪い事にはこの吉蔵が博徒の親分....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
ても知りたいと思っているが、なにしろ欧州、インド、支那、日本といった具合にかなり
手広い諸国で製作されているかのようである上にその絵には署名あるものがない。年代も....
「雪たたき」より 著者:幸田露伴
此時主人は改めて大きくにッたりと笑って、其眼は客を正目に見ながら、 「如何にも
手広い渡海商いは、まことに心地よいことでござろう。小さな癇癪などは忘るるほどのこ....
「銅銭会事変」より 著者:国枝史郎
隣室と仕切った襖があった。その襖をソロソロと開けた。燈火がなくて暗かった。全体が
手広い屋敷らしかった。しかも人影は皆無であった。どの部屋にも燈火がなかった。一つ....
「血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
も仕えようとはせずと、豪族の一人として閑居していた。 聚楽第の西の花園の地に、
手広い屋敷を営んで、家の子郎党も多少貯え、近郷の者には尊敬され、太閤秀吉にも認め....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
のように調った顔の、眼や鼻に陰影がついている。
そういう嘉門を送り迎えるのは、
手広い荒れ庭の草や木であった。
一所に花|柘榴の木があって、赤い蕾が珠のように....
「深川女房」より 著者:小栗風葉
し見合わせるように……今動かしちゃ病人のためにもよくなかろうし、それから佃の方は
手広いことには
手広いが、人の出入りが劇しくって騒々しいから、それよりもこっちで当....
「世界の裏」より 著者:国枝史郎
のえ、実行に移った時には…… ――老幼男女の別なく、昼夜休まず神廟内、その他、
手広い建物の内に集まり、俄に兵器の製造に着手し、日|毎に、楯百四十箇、刀剣三百振....
「画工と幽霊」より 著者:岡本綺堂
た遊びに行った事がある、その別荘は倫敦の街から九|哩ばかり距れた所にあるが、中々
手広い立派な邸宅で、何さま由緒ある貴族の別荘らしく見えた。で、私が名刺を出して来....