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手形
「手形〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手形の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
れて、八文の木戸銭を払う観客が少なくない。半七はお照の台所の柱に残っていた鍋墨の
手形から、新兵衛殺しの下手人はこの河童小僧と鑑定したのであった。表はもう閉まって....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
「時に大哥。どうでしょう。あしたはお供をさせて頂くわけには……」 男は関所の
手形を持っていないのである。こういう旅人は小田原や三島の駅にさまよっていて、武家....
「映画界手近の問題」より 著者:伊丹万作
るまで一つの組合さえ持たなかったのである。愚かな彼らは「芸術家」という一枚の不渡
手形を、後生大事とおしいただいて、三十何時間労働というような、他に例のない肉体酷....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
歩あゆみ寄った。 門扉は、閂がかけてある。そして、その閂の上までも一面に、蜘蛛
手形に蔦の枝が匍っている。扉は全面に陰っているので、今までは判らなかったが、今か....
「二、〇〇〇年戦争」より 著者:海野十三
じを喰うとは、なんだ。太青洋は、両国の共有物で、緩衝地帯などとは、けしからん約束
手形だ。アカグマ国の今後の活動が制限されて、困るじゃないか!) (へいへい、ワシ....
「人造人間戦車の機密」より 著者:海野十三
れた碌に役にもたたない兵器に懲りた経験を思い出し、また重慶で、しばしば嘗めた不渡
手形的援醤宣言の苦が苦がしさを想い出し、すべて手硬い一方で押そうとするのであった....
「海の使者」より 著者:泉鏡花
る、この板を置いた切れ口は、ものの五歩はない。水は川から灌いで、橋を抜ける、と土
手形の畦に沿って、蘆の根へ染み込むように、何処となく隠れて、田の畦へと落ちて行く....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
ことを知って、これを従えた者は、知事の君と別懇の者であるということを示す、活きた
手形のようなジャムの奴が、連れて出た己を棄てて、滝太郎の後から尾を振りながら、ち....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
せえ、腰を円くそう坐られた体裁も、森の中だけ狸に見える。何と、この囲炉裏の灰に、
手形を一つお圧しなさい、ちょぼりと落雁の形でござろう。」 「怪しからん、」 と....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
の全生涯を賭博台の前に送りながら何百万の富を築き上げたという人間で、自分が勝てば
手形で受け取り、負ければ現金で即座に支払っていた。彼は自分の長いあいだの経験によ....
「幸福のうわおいぐつ」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
っているとも、さめているともつかず、うとうとゆられていました。右のかくしには信用
手形を入れ、左のかくしには、旅券を入れていました。ルイドール金貨が胸の小さな革紙....
「端午節」より 著者:井上紅梅
い出した。そのとき一人の同郷生が十円借りに来た。彼は明かにお役所の判のついてある
手形を持っていたが、その人が金を返してくれないと困ると思って、はなはだ六ツかしい....
「バットクラス」より 著者:岡本かの子
獲千金的紙上利益をタイプライターが創造しているだけの計画書を示し、彼に荘重な約束
手形の署名をさせるようになった。もちろんスワンソンは欺されてばかり居るのだ。 ....
「魂の喘ぎ」より 著者:大倉燁子
の、私は何という事なしに胸を突かれました。墨塗りの小物入れにも触れたらしく小さい
手形がついている、泥に汚れた手で抽斗を開けたのでしょう。帯止の金具類が掻き廻わし....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
であった。 北の芸者小勝の親から『井上さんは将来見込みのある人だから、身代金は
手形でもかまわない。娘をもらってほしい』という奇妙な申し出を受けたのもこのころで....