手慣れ[語句情報] » 手慣れ

「手慣れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

手慣れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
我慢はそれまでだった。一座はその気分を感じてなんとなく白《しら》け渡った。葉子の手慣れた tact でもそれはなかなか一掃されなかった。岡はその気まずさを強烈な....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
一倍だったからです。 傷は、背中をぐさりとやられた突き傷が一カ所、凶器は匕首、手慣れの三味《しゃみ》にひと語りかたっているところをでも不意にうしろから襲われた....
旧主人」より 著者:島崎藤村
の間を歩いて見ました。 冬の光は明窓《あかりまど》から寂しい台所へさしこんで、手慣れた勝手道具を照していたのです。私は名残惜しいような気になって、思乱れながら....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
々と羽織ったりした男たちが、右往左往に走りまわるそのあたりを目がけて、君の兄上が手慣れたさばきと艫綱を投げると、それがすぐ幾十人もの男女の手で引っぱられる。船は....
親子」より 著者:有島武郎
その人の癖らしく矢部はめったに言葉に締めくくりをつけなかった。それがいかにも手慣れた商人らしく彼には思われた。 帳簿に向かうと父の顔色は急に引き締まって、....
恐怖の口笛」より 著者:海野十三
はそれを聴くと、薄い唇をギュッと曲げて冷笑した。そして突然、背後に隠しもった彼の手慣れた武器をとりだした。それは恐るべき軽機関銃だった。彼が和蘭にいたとき、そこ....
金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
ものでもなし、さればと云って胸に秘め籠めて置くにも置かれなくなっている。やっぱり手慣れた生きものの金魚で彼女を作るより仕方がない。復一はそこからはるばる眼の下に....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
それから米友は大菩薩峠を登りにかかりました。 例の跛足《びっこ》を俊敏な体と手慣れた杖とに乗せて、苦もなく峠を登って、やがて大菩薩峠の頂に着きました。 頂....
喫煙癖」より 著者:佐左木俊郎
暗に煙草を燻かすもんですから、煙草銭だけでも自分で働かないと……」 「汽罐の方は手慣れておいでなのですかよ?」 「汽罐の方はそりゃ、私あ、十五六の時から、鉄道の....
花物語」より 著者:寺田寅彦
もなく聞くでもなく、何か不安の色を浮かべて考えているようであるが、時々かくしから手慣れた手帳を出してらく書きをしている。一夜夜中に目がさめたら山はしんとして月の....
八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
の娘、拙者必ず槍先をもって悪魔退散致させましょう」 ――で、運八はその日の夜、手慣れた槍を小脇に抱え、城の奥殿若殿のお部屋の、庭園の中へ忍び込み、様子いかにと....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
お玉の母はその後、やはりこの部落の中で味気ない一生を早く終って、間の山の正調と、手慣れた一挺《いっちょう》の三味線と、忠義なる一頭のムク犬とを娘のために遺品《か....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
だけれど、持って行っても邪魔《じゃま》にはなるまいから」 そう言われてお君は、手慣れた三味を抱えて小屋の裏を出ました。ちょうど、空が澄んで月が出ていました。 ....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
散らした、濃い朱塗りの装具といい、又それを包んだ真紅の錦襴の袋といい、生前現世で手慣れたものに寸分の相違もないのでした。私は心からうれしくお爺様に厚くお礼を申上....
二人町奴」より 著者:国枝史郎
の葬式が、非常に盛大に行なわれた日、浅草寺で鳴らす鐘の音が一種異様の音を立てた。手慣れた寺男のつく鐘とは、どうにも思われない音であった。 それは当然と云ってよい、ついたのは釣鐘弥左衛門なのだから。....