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手拭い
「手拭い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手拭いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白蟻」より 著者:小栗虫太郎
許されなかったのである。滝人は、指針を廻すのをまず後廻しにして、そっと振子だけを
手拭いにくるみ、それから、くらの寝間に赴いた。 しかし、そこにも光はなかった。....
「蠅男」より 著者:海野十三
まわしてあったので、うまく落ちないで持ってこられたのだった。長吉は仕方なく腰から
手拭いを取って、その端に手頃の石をしっかり包んだ。もし蠅男がでたら、端をもってこ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
来た。その雨の音を聞きながら、半七は居眠りでもしたように目を瞑じていたが、やがて
手拭いと傘を持って町内の銭湯へ出て行った。 雨はだんだんに強くなって、夕暮れに....
「五色温泉スキー日記」より 著者:板倉勝宣
でもと嘆願したら、どうでもいい掛蒲団だけかえてくれたのでまた降参した。やむを得ず
手拭いで枕を巻き、タオルで口を予防して三人で炬燵をかこんで神妙に寝た。 十二月....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
なく万本となく、隅田の堤、上野の丘に白雲のように咲き満ちています。花見|衣に赤|
手拭い、幾千という江戸の男女が毎日花見に明かし暮らします。酒を飲む者。踊りを踊る....
「転機」より 著者:伊藤野枝
のではあるまいかという想像と一緒に、何となくその襤褸にくるまって、煮しめたような
手拭いに頭を包んだ二人の姿を哀れに見ながら、それならば、多分尋ねる道筋は、親切に....
「華々しき瞬間」より 著者:久坂葉子
ってあげるわ」 彼女は、美顔術を中途でよさなければと、鏡をみかえって、あわてて
手拭いで顔をふいた。 「じゃあ、お前は何がほしいんだ」 「真珠のネックレース。チ....
「猿ヶ京片耳伝説」より 著者:国枝史郎
うな女だったら、俺らこんな身の上にゃアならなかったんだが……」 頬冠りを取り、
手拭いで体を拭き拭き、 「それにしても進一さんて人は幸福だなア、お蘭ちゃんのよう....
「北斎と幽霊」より 著者:国枝史郎
である。 彼はある時には役者絵を描きまたある時には笑絵をさえ描いた。頼まれては
手拭いの模様さらに引き札の図案さえもした。それでも彼は食えなかった。顔を隠して江....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
た。渚を目がけて例の娘が、沖から泳いで帰って来たのだ。潮から上がって渚に立って、
手拭いで体を拭き出した時、さすがの我輩も変な気持ちがしたよ。 な、女は全裸体な....
「大鵬のゆくえ」より 著者:国枝史郎
ざいます」 小次郎はスルスルと近寄ったがパッと飛びかかって首を掴み、持って来た
手拭いで猿轡。扱帯を解いて腕をくくり傍の柱へ繋いだが、奥の襖を手早く開けた。 ....
「柳営秘録かつえ蔵」より 著者:国枝史郎
く見る人にはこっちから褒美を出してやる。……まず初めは小手調べ、結んでも結べない
手拭いの術、おおお立会誰でもいい、一本
手拭いを貸してくんな」 「おいよ」と一人の....
「村井長庵記名の傘」より 著者:国枝史郎
かるころから、後の男は足を早めたが、気が付いたように立ち止まると、下駄を脱いで、
手拭いで包み、グイと懐中へ捻じ込んだ手で、衣裳の裾の高端折り、夜眼にも著るくヌッ....
「天衣無縫」より 著者:織田作之助
歩くのだ。 そんなあの人の恰好が眼に見えるようだ。高等学校の生徒らしく、お尻に
手拭いをぶら下げているのだが、それが妙に塩垂れて、たぶん一向に威勢のあがらぬ恰好....
「勝ずば」より 著者:岡本かの子
。かかりつけの医者が人力車に乗って駈けつけた。父親の寛三は血を吹く政枝の左手首を
手拭いの上から握りしめていた。 「政枝、先生に手当をして貰え、な、判ったか」 ....