手持[語句情報] »
手持
「手持〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手持の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
こうとしていた。船員も乗客も申し合わしたように葉子のほうを見守っていた。先刻から
手持ちぶさたそうにただ立って成り行きを見ていた五十川女史は思いきって近寄って来て....
「星座」より 著者:有島武郎
なものにしたいのは私も同じことじゃありますが、計算までここでやってるんじゃ、私は
手持|無沙汰《ぶさた》で、まどろっこしくって困りますよ」
計算だって研究の一つ....
「浜菊」より 著者:伊藤左千夫
居るのかしらなど考える。百里遠来同好の友を訪ねて、早く退屈を感じたる予は、余りの
手持無沙汰に、袂《たもと》を探って好きもせぬ巻煙草に火をつけた。菓子か何か持って....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
別に馬は珍しゅうもないが、白痴殿《ばかどの》の背後《うしろ》に畏《かしこま》って
手持不沙汰《てもちぶさた》じゃから今引いて行こうとする時縁側へひらりと出て、
(....
「海異記」より 著者:泉鏡花
り頭を掉ったが、さも横柄に見えたのである。 また泣き出したを揺りながら、女房は
手持無沙汰に清しい目を※ったが、 「何ですね、何が欲いんですね。」 となお物貰....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
またその前の十六日の撃墜にも二十数機追加あり、結果約三百機の敵機をやっつけ、敵の
手持の千二百機の四分の一を倒したことになる。 ◯運通省の列車と省線電車の制限は、....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
しっかりついて、掻竦むように脊筋を捻る。 「ははははは、これはどうも。」と按摩は
手持不沙汰な風。 女房|更めて顔を覗いて、 「何んと、まあ、可愛らしい。」 「....
「出奔」より 著者:伊藤野枝
て門まで出ては、黄色な菜の花の中を歩いていく友達の姿を見送った。そして室に帰ると
手持無沙汰で考え込んではいつか昼になったことを知らされるのであった。 「今日はど....
「わがまま」より 著者:伊藤野枝
を凝らしてその後姿を見つめていた。 「登志さん」 はずんだ従姉の声に我に返って
手持無沙汰に立っている――永田――夫――に目礼して嫌な叔父に挨拶をすました。傲然....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
るべき。姉上に逢わむとて木槿垣に行く途、まず一人物干棹をもて一文字に遮り留む。十
手持ちたるが引添いて眼を配り、顱巻したるが肩をあげて睨め着くる。その中にやさしき....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
して座中を※すと、誰も居ないで寂として、釜の湯がチンチン、途切れてはチンという。
手持不沙汰に、後退にヒョイと立って、ぼんやりとして襖がくれ、 「御免なさいまし。....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
、黙って下方を向いた切り、顔の色なども何所やら暗いように見えました。私はちょっと
手持無沙汰に感じました。 すると案内のお爺さんが代って簡単に挨拶してくれました....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
らつかれるからだ。この人は投身を企つる者ではござらぬ」巡査の証言にかの人も車夫も
手持不沙汰なれば予は厚くその注意を謝し、今は我輩も帰るべしと巡査にも一揖して月と....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
を対手の業体、歌所はしつけのいいもので、ニヤリともせず真面目くさり、髭のない男の
手持なげに、見事な面皰を爪探りながら、勝手の方に引込んでしまった。 お夏は帰る....
「註文帳」より 著者:泉鏡花
さも他愛なさそうに笑ったと思うと、フイと立ってばたばたと見えなくなった。 客は
手持無沙汰、お杉も為ん術を心得ず。とばかりありて、次の室の襖越に、勿体らしい澄し....