手持無沙汰[語句情報] » 手持無沙汰

「手持無沙汰〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

手持無沙汰の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
浜菊」より 著者:伊藤左千夫
居るのかしらなど考える。百里遠来同好の友を訪ねて、早く退屈を感じたる予は、余りの手持無沙汰に、袂《たもと》を探って好きもせぬ巻煙草に火をつけた。菓子か何か持って....
富士」より 著者:岡本かの子
ち完全そのものの張り切り方で立ち向われて来るときの、こなたの恥さえ覚えるばかりの手持無沙汰を想像するとき、やはり到底、親子としては交際《つきあ》い兼ねる女なので....
家霊」より 著者:岡本かの子
老人は娘のいる窓に向って坐った。広い座敷で窓一つに向った老人の上にもしばらく、手持無沙汰な深夜の時が流れる。老人は今夜は決意に充ちた、しおしおとした表情になっ....
海異記」より 著者:泉鏡花
り頭を掉ったが、さも横柄に見えたのである。 また泣き出したを揺りながら、女房は手持無沙汰に清しい目を※ったが、 「何ですね、何が欲いんですね。」 となお物貰....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
うな青年は、女がたくさんいるテーブルに、同性とタブって並ばされたので、無意識にも手持無沙汰らしく、ときどきかの女とロザリと並んでいるのを少し乗り出して横眼で見た....
河明り」より 著者:岡本かの子
……」 私はこの娘に今まで見落していたものを見出して来たような気がした。芸妓は手持無沙汰になって、 「そうでございますかねえ、じゃ、ま、抓っても見たり……」と....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
けて行けばよかったなどと、今更のように悔まれた。 親分の顔色が悪いので、熊蔵も手持無沙汰で黙っていた。芝の山内の鐘がやがて四ツ(午前十時)を打った。下の格子が....
御萩と七種粥」より 著者:河上肇
野博士は書専門、私は絵と書の双方をやった。集っていた人の組合せが好かったせいか、手持無沙汰で退屈するような人は一人もなく、誰かが大字でも書くと硯の墨はすぐ無くな....
出奔」より 著者:伊藤野枝
て門まで出ては、黄色な菜の花の中を歩いていく友達の姿を見送った。そして室に帰ると手持無沙汰で考え込んではいつか昼になったことを知らされるのであった。 「今日はど....
わがまま」より 著者:伊藤野枝
を凝らしてその後姿を見つめていた。 「登志さん」 はずんだ従姉の声に我に返って手持無沙汰に立っている――永田――夫――に目礼して嫌な叔父に挨拶をすました。傲然....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
、黙って下方を向いた切り、顔の色なども何所やら暗いように見えました。私はちょっと手持無沙汰に感じました。 すると案内のお爺さんが代って簡単に挨拶してくれました....
鐘ヶ淵」より 著者:岡本綺堂
況などを、いずれもくわしく聞こうとした。福井がこうして持囃されるにつけて、ここに手持無沙汰の人間がふたり出来た。それは三上治太郎と大原右之助でなければならない。....
註文帳」より 著者:泉鏡花
さも他愛なさそうに笑ったと思うと、フイと立ってばたばたと見えなくなった。 客は手持無沙汰、お杉も為ん術を心得ず。とばかりありて、次の室の襖越に、勿体らしい澄し....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
知らぬが、狂うが如くに吠え哮るのであった。 「何をあんなに吠えるのだろう。」と、手持無沙汰の市郎は、之を機に起上って門へ出た。 この家は小さい陣屋のような構造....
とと屋禅譚」より 著者:岡本かの子
彼の店には一つも入って来なかった。自分のところの店番の若者と小僧の足袋跣足の足が手持無沙汰に同じ処を右往左往する。眼を挙げて日本橋を見ると晴れた初夏の中空に浮い....