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手探り
「手探り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手探りの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
激しく高くうつ心臓に残っていた。葉子は恐怖におびえながら一心に暗い中をおどおどと
手探りに探ると事務長の胸に触れた。
「あなた」
と小さい震え声で呼んでみたが男....
「星座」より 著者:有島武郎
ドアの蔭になっている釘に、外套と帽子とをかけて、本箱の隅におきつけてあるマッチを
手探りに取りだしてラムプに灯をともした。机の上には二三通の手紙がおいてあった。そ....
「水害雑録」より 著者:伊藤左千夫
。後は闇々黒々、身を動かせば雑多な浮流物が体に触れるばかりである。それでも自分は
手探り足探りに奥まで進み入った。浮いてる物は胸にあたる、顔にさわる。畳が浮いてる....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
た玩弄物に化ろうが。) (灯を点けよう、何しろ。) と、幹事が今は蹌踉けながら
手探りで立とうとする。子爵が留めて、 (お待ちなさい。串戯も嵩じると、抜差しが出....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
かもしれない虞れがあったからだ。腋の下まで充分に腕を差込んで置いて、それから僕は
手探りに、左の方の壁を撫でまわした。それは漆喰で固めてあるらしく、滑々した表面を....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
、揚幕際に扇を揚げ、屹と天守を仰ぐ。 鐘の音。 夫人、従容として座に返る。図書、
手探りつつもとの切穴を捜る。(間)その切穴に没す。しばらくして舞台なる以前の階子....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
立った足を、こぶらに力を入れて、あげたり、すぼめたりするように、片手を差出して、
手探りで、巾着ほどな小児に杖を曳かれて辿る状。いま生命びろいをした女でないと、あ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
したのであった。―― 「それから、婆さんに聞きました通り、壊れ壊れの竹垣について
手探りに木戸を押しますと、直ぐに開きましたから、頻に前刻の、あの、えへん!えへん....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
慢な奴だけに、ぴしりと、もろい折方、憤死してしまったんだ。七代まで流儀に祟る、と
手探りでにじり書した遺書を残してな。死んだのは鼓ヶ嶽の裾だった。あの広場の雑樹へ....
「わがまま」より 著者:伊藤野枝
えることの苦しさに堪えかねていろいろな一昨夜までに残してきた、東京での出来ごとを
手探りよせて誤魔化していた。しかしその間にも小さな切れ切れな不快らしい事柄が目の....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
このがたがたにもう堪らず、やにわに寝台からずるずると落ちた。 小松原は暗がりを
手探りながら、鋭くなった神経に、先刻から電燈で照らしたほど、室内の見当はよく着け....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
り、びしょ濡れに夜露の染んだ土間を、ぴたぴたと踏んで、もっとも向うの灯は届かぬ、
手探りですよ。 やがて、その土間の広くなった処へ掛ると、朧気に、縁と障子が、こ....
「阿Q正伝」より 著者:井上紅梅
に帰って来た。 土穀祠の中は、いっそうまっ闇だった。彼は大門をしっかり締めて、
手探りで自分の部屋に入り、横になって考えた。こうして気を静めて自分の思想の出どこ....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
うな気がしたんですよ。兄さん、御堪忍ね。あれ、煙草を喫んでるんですね。」 「墓を
手探りで、こう冷い青苔を捜したらね、燐寸があったよ。――今朝忘れたものらしい。そ....
「活人形」より 著者:泉鏡花
け救い得させむずと、漫に憐を催しぬ。談話途切れて宿の亭主は、一服吸わんと暗中を、
手探りに、煙管を捜して、「おや、変だ。ここに置いた煙管が見えぬ。あれ、魔隠、気味....