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手放し
「手放し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手放しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「河童」より 著者:芥川竜之介
しは満足しています。しかしこれもあなたの前だけに、――河童でないあなたの前だけに
手放しで吹聴《ふいちょう》できるのです。」
「するとつまりクオラックス内閣はゲエ....
「藪の中」より 著者:芥川竜之介
の口数《くちかず》に過ぎますまい。ただ、都《みやこ》へはいる前に、太刀だけはもう
手放していました。――わたしの白状はこれだけです。どうせ一度は樗《おうち》の梢《....
「妖婆」より 著者:芥川竜之介
あるだろう。ところが今夜の出合いがあの婆に見つかったとなると、恐らく明日はお敏を
手放して、出さないだろうと思うんだ。だからよしんばあの婆の爪の下から、お敏を救い....
「星座」より 著者:有島武郎
の者をつかまえて眼を細くしている。おふくろは六年も留守にしていた俺がいとしくって
手放しかねるようだが、何一つ口を出さない。そして土間の隅で洗いものなどをしながら....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
最も秘蔵の業物《わざもの》としていたので、去年故郷を退転する時にも余の刀はみんな
手放してしまって、籠釣瓶だけを身につけて来たのであった。 「もうこの上は、籠釣瓶....
「国貞えがく」より 著者:泉鏡花
売るものですか。そりゃ売らない。憚《はばか》りながら平吉売らないね。預りものだ、
手放して可《い》いものですかい。 けれども、おいそれとは今言ったような工合です....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
水戸を交えた四名が上陸した。 このときワーナー博士は、思う仔細があって、水戸を
手放し、アイスランドへ赴かせたのである。そのわけは、既に水戸がドレゴに語ったとこ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
度も恍惚気抜けのするようなのを、ああ、先生に瓜二つ、御尤もな次第だけれども、余り
手放しで口惜いから、あとでいじめてやろう、とお蔦が思い設けたが、……ああ、さりと....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
雑貨店主、沢岡が激ました。 「ええ、もうちっとだわ。――あの……それでお医者様が
手放したもんですから、照吉さんが一七日塩断して……最初からですもの、断つものも外....
「駆逐されんとする文人」より 著者:内田魯庵
齎らす位置転換も爰に到って頗る甚だしい。尤も狡猾な都会人に欺かれて早くから地所を
手放して了ったのもあるが、中には拱手して忽ち意外なる市街地の大地主となったものも....
「ふしぎ国探検」より 著者:海野十三
手に渡した。学者として生命にもかえがたい秘蔵の書籍三千冊も売り払った。ベッドさえ
手放した。そしてこのあばら家へ転がりこんだ。……あとに残ったのは、今この部屋に転....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
似て、非ず、旱魃の鬼一口の犠牲である。 ヒイと声を揚げて弟子が二人、幕の内で、
手放しにわっと泣いた。 赤ら顔の大入道の、首抜きの浴衣の尻を、七のずまで引めく....
「化銀杏」より 著者:泉鏡花
なるもんだから、仕方なしに帰って来ると、旦那も後からまた帰る、何でも私をば一人で
手放しておく訳にゃゆかないと見えて、始終一所に居たがるわ。 だもんだからどこも....
「兜」より 著者:岡本綺堂
かぶっていた為にあぶなく真っ二つにされるところでした。こんな縁喜の悪いものは早く
手放してしまいとうございます。」 その代金は追って受取ることにして、彼はその兜....
「橋の上」より 著者:犬田卯
端までその上を駈けて渡ったりした。 たいがいの腕白ども――否、一人残らず彼らは
手放しなんかで巧みに渡った。渡れないのは圭太一人くらいのものだった。 三年四年....