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手放す
「手放す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手放すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
放してしまって、籠釣瓶だけを身につけて来たのであった。 「もうこの上は、籠釣瓶を
手放すよりほかはない」 村正は徳川家に祟《たた》るという奇怪な伝説があるので、....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
。実は忠通にもかねてその下心《したごころ》があったのであるが、自分の傍《そば》を
手放すのが惜しさに、自然|延引《えんいん》して今日《こんにち》まで打ち過ぎていた....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
こで手を廻してだんだん探ってみると、稲川の主人は行状のいい人で、今度大切の一軸を
手放すというのも、自分の知行所がこの秋ひどい不作であったので、その村方の者どもを....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ありますから、二、三日中にまた参ります」と、半七は家主に別れて帰った。 ほかに
手放すことのできない用を抱えていたので、二、三日という約束が四、五日に延びて、半....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
房が馬道の庄太の家へ見舞にゆくと、子供の麻疹が思いのほかに重くなって、庄太夫婦も
手放すことが出来ないらしかった。その話を聴いて、寅松の一件も当分は埒があくまいと....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
きまして、丁度こっちに子供が無いから引き取って自分の子にしたいと……。わたくしも
手放すのは忌《いや》でしたけれども、向うへ引き取られれば立派な店の跡取りにもなれ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
者で、芸道の上からかの仮面を手に入れたいと思うのであるから、折角ではあるが今さら
手放すことは出来ないと云い切った。 それにも一応の理窟はあるので、孫十郎も当惑....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
として断るわけにはいかない。弥次右衛門もこれには当惑したが、どう考えてもその笛を
手放すのが惜しかった。 こうなると、ほかに仕様はない。年の若い彼はその笛をかか....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
、あの、吠えて飛ぶ処は、梟の憑物がしよった、と皆|気違にしなさいます。姉さんも、
手放すのは可哀相や言って下さいましたけれど、……周囲の人が承知しませず、……この....
「鴛鴦鏡」より 著者:岡本綺堂
合せていては、その取調べに不便があると思ったので、わたしはここで、ひとまず冬坡を
手放すことにした。 二つ三つ冗談を言って、わたしはそのまま行きかけると、野童は....
「兜」より 著者:岡本綺堂
だか気味が悪いというので、その兜を自宅に置くことを嫌っているが、さりとてむざむざ
手放すにも忍びないので、邦原君は今もそのままに保存している。そうして、往来をある....
「月の夜がたり」より 著者:岡本綺堂
敷を構えていたのだが、維新以来いろいろの事業に失敗して、先祖以来の屋敷をとうとう
手放すことになって、自分たちは沼津の方へ引っ込んでしまった。それを買いとって、梶....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
毒で成りません。夢見の悪さがつづくので、江戸へ見舞に帰るとしても、そんな事で私を
手放すような虎松では御座いませんから、私は密と抜け出して来たので御座います。江戸....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
三ヵ国の大名、わが望むままの婿を得らるるは知れてあるが、さて其のひとり娘をむざと
手放すのが惜しゅうてのう。ついそのままに延引していたが、親の子煩悩が仇となって、....
「勘平の死」より 著者:岡本綺堂
聞きまして、丁度こっちに子供がないから引取って自分の子にしたいと……。わたくしは
手放すのはいやでしたけれど……。(又泣く。)向うへ引取られれば立派な店の跡取りに....