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手文庫
「手文庫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手文庫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
錠をおろすものには錠をおろし切って、雨戸を一枚繰って、そこからさし込む光で大きな
手文庫からぎっしりつまった男文字の手紙を引き出すと風呂敷《ふろしき》に包み込んだ....
「或る女」より 著者:有島武郎
ばらくしてから葉子は物うげに深い吐息を一つして、上体をひねって棚《たな》の上から
手文庫を取りおろした。そして筆をかみながらまた上目でじっと何か考えるらしかった。....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
何かの必要があるならば調べてみようと云うので、ヘンリーはハリソンの机のひき出しや
手文庫などを捜索して、四五十枚の写真を見つけ出して来た。さすがは写真道楽だけあっ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
った。 「別に近付きというわけじゃありません。去年の暮に一度たずねて来て、なにか
手文庫の錠前がこわれているから直してくれというので、宿屋に見に行きましたが、あい....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
に来たのであった。何を盆槍しているのだろう。見ると、床の間の上下の戸棚といわず、
手文庫の中といわず、書棚といわず、手あたり次第引っ掻きまわされてあったが、これは....
「夜泣き鉄骨」より 著者:海野十三
。 わしは、両手を差入れて、天井裏を探ぐったが、思うものは、直ぐ手先に触れた。
手文庫らしい古ぼけた函を一つ抱え下ろしてきたときには、横瀬は呆気にとられたような....
「三人の双生児」より 著者:海野十三
ものだと考えられる。二月十九日といえば、たしかに妾の誕生日なのである。これは妾の
手文庫の中にあった妾の緒にチャント書いてあったから間違いはないと思う。すると二月....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
しい、まるでほんとうの女かと思われるような可愛らしい男でございました。 奥様は
手文庫から二十両の金を出して、わたくしにお渡しになりました。これは照之助に遣るの....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
、思い切って今日じゅうに片付けてしまおうと、汗をふきながら整理をつづけていると、
手文庫の中から書きさしの原稿類を相当に見いだした。いずれも書き捨ての反古同様のも....
「軍用鼠」より 著者:海野十三
が悪かった。 彼は時計がもう午前三時になっているのに気がつかないで側らの棚から
手文庫を下ろした。その中には円い大きな凹面鏡が、むきだしのまま入っているのである....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
なる出窓じゃ―― 何と、その出窓の下に……令嬢、お机などござって、傍の本箱、お
手文庫の中などより、お持出でと存じられます。寺、社に丹を塗り、番地に数の字を記い....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
、四枚の着換えとが残っていたのを、みな慶善寺に納めることになった。そのほかに古い
手文庫のようなものが一つ見いだされたが、それは警察の方へ引きあげられた。文庫のな....
「朝顔日記の深雪と淀君」より 著者:上村松園
わされた型が好きなのです。まだ盲目にならない深雪が、露のひぬま……と書かれた扇を
手文庫から出して人知れず愛着の思いを舒べているところに跫音がして、我にもあらず、....
「十番雑記」より 著者:岡本綺堂
から、思い切って今日中に片附けてしまおうと、汗をふきながら整理をつづけていると、
手文庫の中から書きさしの原稿類を相当に見出した。いずれも書き捨ての反古同様のもの....
「死児を産む」より 著者:葛西善蔵
される。――とにかく彼は自分の「蠢くもの」を読んでいるのだ。 で、自分はまた、
手文庫の底からその手紙を取りだして、仔細に読んでみた。 刑務所の書信用紙という....