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手札形
「手札形〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手札形の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
上げると、そのそばから厚い紙切れのようなものが出て来た。手に取って見ると、それは
手札形の写真だった。まだ女学校に通っているらしい、髪を束髪《そくはつ》にした娘の....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
彼の姿と思われる部分はすっかり引裂いてあった。無論手箱の中に収められたキャビネや
手札形の写真の中には彼の姿の片鱗さえなかった。いつの間に之だけの周到な用意をした....
「田舎教師」より 著者:田山花袋
抽斗しの奥にしまってあった。雪子といま一人きよ子という学校友だちと三人して撮した
手札形で、美穂子は腰かけて花を持っていた。それを雪子のアルバムからもらおうとした....
「足迹」より 著者:徳田秋声
日過ぎに、お庄は肩にショールをかけ、銀杏返しに白い鬢掻きなどをさして奥山で撮った
手札形の自分の写真と、主婦や母親、女中に半襟や櫛のようなものを買って、湯島の方へ....
「一九三二年の春」より 著者:宮本百合子
こく繰返した。押し問答の後、その特高は書類鞄の口をあけ、数枚の写真をとり出した。
手札形の大さで、髪にコテをあてた派手な若い女の写真などがある中から一枚ぬき出して....
「わが父」より 著者:宮本百合子
婚の話が起るようになって、見合いの写真をとったのが今もあるが、少し色の褪せかけた
手札形の中で、角帽をかぶり、若々しい髭をつけた父が顔をこちらに向けて立ち、着てい....
「カメラの焦点」より 著者:宮本百合子
ケース入りの写真機を枕にして横浜からの汽車の中で眠ってしまった。それはコダックの
手札形であった。 弟が十八九の頃、写真にこった。家族のものや静物をその父の古い....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
いよなつかしがる記念品がはいっている。これには説明も何もない。それは当時はやった
手札形の硝子写真である。わかい一人の女性が椅子に腰をかけている。小ざっぱりした衣....
「深川女房」より 著者:小栗風葉
って来た。 「さあ、金さん」と差し出されたのを、金之助は手に取って見ると、それは
手札形の半身で、何さま十人並み勝れた愛くるしい娘姿。年は十九か、二十にはまだなる....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
の」と母が聞かれます。 「写しましたけれど、どんなだか。」 幾日か過ぎて届いた
手札形の写真は、泣出しそうな顔をしていました。 「どうしてこんな顔をしているのだ....
「墓地の殺人」より 著者:小酒井不木
写した写真を見せてあげよう」 こう言って私をうながしながら実験室に入り、六枚の
手札形の写真を示しました。三人の男がそれぞれ正面と横顔とに撮れておりました。一人....
「頭蓋骨の秘密」より 著者:小酒井不木
かれこれするうち、小田さんは富三の写真を持って帰ってきました。見ると、それは、
手札形のはっきりした半身像で、帽子はかぶっていませんでしたが、なんとなく狡滑そう....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
けた三角の小棚には何が恭々しく飾られてあったか。 ニコライ皇帝、 その皇后、
手札形の真鍮縁のその御真影こそはあわれであった。 私は黯然とした。 「撮影さし....