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手桶
「手桶〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手桶の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
》、水槽《みずぶね》の前に腰を据《す》えて、しきりに水をかぶっている坊主頭、竹の
手桶《ておけ》と焼き物の金魚とで、余念なく遊んでいる虻蜂蜻蛉《あぶはちとんぼ》、....
「子供の病気」より 著者:芥川竜之介
いかわらず》雲のかぶさった、気色《きしょく》の悪い天気だった。風呂場《ふろば》の
手桶《ておけ》には山百合《やまゆり》が二本、無造作《むぞうさ》にただ抛《ほう》り....
「高野聖」より 著者:泉鏡花
つ道理もなし。
床几《しょうぎ》の前には冷たそうな小流《こながれ》があったから
手桶《ておけ》の水を汲《く》もうとしてちょいと気がついた。
それというのが、時....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
る。 「ワンワンに言うようだわ、何だねえ、失礼な。」 とお源は柄杓で、がたりと
手桶の底を汲む。 「田舎ものめ、河野の邸へ鞍替しろ、朝飯に牛はあっても、鯛の目を....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
性の協力によって成り立つものではないという事だ。現時の文化は大は政治の大から小は
手桶の小に至るまで悉く男子の天才によって作り上げられたものだといっていい。男性は....
「海異記」より 著者:泉鏡花
女房は連りに心急いて、納戸に並んだ台所口に片膝つきつつ、飯櫃を引寄せて、及腰に
手桶から水を結び、効々しゅう、嬰児を腕に抱いたまま、手許も上の空で覚束なく、三ツ....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
…… と姥は見返る。捧げた心か、葦簀に挟んで、常夏の花のあるが下に、日影涼しい
手桶が一個、輪の上に、――大方その時以来であろう――注連を張ったが、まだ新しい。....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
石持、黒い袴を穿いた宮奴が、百日紅の下に影のごとく踞まって、びしゃッびしゃッと、
手桶を片手に、箒で水を打つのが見える、と……そこへ―― あれあれ何じゃ、ばばば....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
って、同じく駒下駄をぶら提げて、跣足で、びしょびしょと立った所は、煤払の台所へ、
手桶が打覆った塩梅だろう。」 この時一所に笑い出したが。 「ね、小児だって、本....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
う扮装。坊主頭に捻鉢巻をしているさえ奇抜を通越した大俗さ。それが片手に水の滴たる
手桶を提げて、片手に鰻掻きの長柄を杖に突いていた。破戒無残なる堕落坊主。併し其眉....
「一寸怪」より 著者:泉鏡花
遣ってくれと云って、挨拶をして出て行く、と入違いに家内は湯殿に行ったが、やがて「
手桶が無い」という、私の入っていた時には、現在水が入ってあったものが無い道理はな....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
寝ようと勝手次第、お飯を食べるなら、冷飯があるから茶漬にしてやらっせえ、水を一|
手桶汲んであら、可いか、そしてまあ緩々と思案をするだ。 思案をするじゃが、短気....
「清心庵」より 著者:泉鏡花
ないんだよ。爺や、ただ玩弄にするんだから。」 「それならば可うごすが。」 爺は
手桶を提げいたり。 「何でもこうその水ン中へうつして見るとの、はっきりと影の映る....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
婆へ出た。」 と口々に、式台へ、ぱらぱらと女たち。 門|外へ足がのびた。 「
手桶では持重りがして手間を取る、椀、椀、椀。」 といった……ここは書きとりにく....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
郎が立処に、「いけなけりゃ、バケツに水を汲んで置いて打撒くよ。」 ――「尋常に
手桶とも言わないで、バケツはどうだ。しかし水を打ちまくかわりに、舞台へ雑巾を掛け....