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手水
「手水〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手水の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
しまう。
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斜めに上から見おろした、大きい長方形の
手水鉢《ちょうずばち》。柄杓《ひしゃく》が何本も浮かんだ水には火《ほ》かげもちら....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
が、槇《まき》や竹の緑といっしょになって、暖かく何坪かの秋を領している。こっちの
手水鉢《ちょうずばち》の側《かたわら》にある芙蓉《ふよう》は、もう花が疎《まばら....
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
い八畳の間《ま》は大抵森閑として人気《ひとけ》がなかった。それは御影《みかげ》の
手水鉢《ちょうずばち》の上に枝を延ばしている木蓮《もくれん》が、時々白い花を落す....
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
て見ても、何故《なぜ》か一向走れなかった。…………
お蓮は顔を洗ってしまうと、
手水《ちょうず》を使うために肌《はだ》を脱いだ。その時何か冷たい物が、べたりと彼....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
外《そと》に、狭い中庭を透《す》かせていた。中庭には太い冬青《もち》の樹が一本、
手水鉢《ちょうずばち》に臨んでいるだけだった。麻の掻巻《かいまき》をかけたお律《....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
じょぎわ》の厠《かわや》へはいって、用を足《た》した。さて、厠を出て、うすぐらい
手水所《ちょうずどころ》で手を洗っていると突然|後《うしろ》から、誰とも知れず、....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
を予防すべき用意に遑《いとま》あらざりき。渠が塀ぎわに徘徊《はいかい》せしとき、
手水口《ちょうずぐち》を啓《ひら》きて、家内の一個《ひとり》は早くすでに白糸の姿....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
階子から便所だ、便所だ。」 どっかの夜講で聞いたそうな。 二十八
手水鉢の処へめしたが、どこへ何んと見当附けたか、案内も待たず、元の二階へも戻らな....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
があるから、海潮がさすのであろう。その川裾のたよりなく草に隠れるにつけて、明神の
手水洗にかけた献燈の発句には、これを霞川、と書いてあるが、俗に呼んで湯川と云う。....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
いで呼ばるる。……毎年顔も店も馴染の連中、場末から出る際商人。丹波鬼灯、海酸漿は
手水鉢の傍、大きな百日紅の樹の下に風船屋などと、よき所に陣を敷いたが、鳥居外のは....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
を、謙造のも一所に拭いて、それから穿直して、外へ出て、広々とした山の上の、小さな
手水鉢で手を洗って、これは手巾で拭って、裾をおろして、一つ揺直して、下褄を掻込ん....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
、夜一夜、古市でお籠をいたしまして、元朝、宇治橋を渡りまして、貴客、五十鈴川で嗽
手水、神路山を右に見て、杉の樹立の中を出て、御廟の前でほのぼのと白みますという、....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
何々ぞ。紺に、瑠璃に、紅絞り、白に、水紅色、水浅葱、莟の数は分らねども、朝顔形の
手水鉢を、朦朧と映したのである。 夫人は山の姿も見ず、松も見ず、松の梢に寄る浪....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
のために百金を得まく、一輪の黒百合を欲して、思い悩んでいるのであろう。南天の下に
手水鉢が見えるあたりから、雨戸を三枚ばかり繰った、奥が真四角に黒々と見えて、蚊帳....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
じて、急心に草を攀じた欣七郎は、歓喜天の御堂より先に、たとえば孤屋の縁外の欠けた
手水鉢に、ぐったりと頤をつけて、朽木の台にひざまずいて縋った、青ざめた幽霊を見た....