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「手洗〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

手洗の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
子供の病気」より 著者:芥川竜之介
腸をした。今度は粘液もずっと減《へ》っていた。「ああ、今晩は少のうございますね」手洗いの湯をすすめに来た母はほとんど手柄顔《てがらがお》にこう云った。自分も安心....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
女がある。 すぐ傍に、空しき蘆簀張の掛茶屋が、埋れた谷の下伏せの孤屋に似て、御手洗がそれに続き、並んで二体の地蔵尊の、来迎の石におわするが、はて、この娘はの、....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
陣。 はや篝火の夜にこそ。 五 笛も、太鼓も音を絶えて、ただ御手洗の水の音。寂としてその夜更け行く。この宮の境内に、階の方から、カタンカタン、....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
、五枚六枚数うるばかり、草を靡かして滑かに通った事であった。 やがて近づく、御手洗の水は乾いたが、雪の白山の、故郷の、氏神を念じて、御堂の姫の影を幻に描いた。....
多神教」より 著者:泉鏡花
い。弱虫やい。――(かくて森蔭にかくれ去る。) お沢 (箒を堂の縁下に差置き、御手洗にて水を掬い、鬢掻撫で、清き半巾を袂にし、階段の下に、少時ぬかずき拝む。静寂....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
の薫みてり。百日紅あり、花桐あり、また常磐木あり。梅、桜、花咲くはここならで、御手洗と後合せなるかの君の庭なりき。 この境内とその庭とを、広岡の継母は一重の木....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
と虫が来て頬へとまった。指のさきで払い落したあとが、むずむずと痒いんだね。 御手洗は清くて冷い、すぐ洗えばだったけれども、神様の助けです。手も清め、口もそそぐ....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
た思いがして、頭に映す太陽は、血の色して段に流れた。 宗吉はかくてまた明神の御手洗に、更に、氷に閑らるる思いして、悚然と寒気を感じたのである。 「くすくす、く....
伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
ると、紫玉の姿は色のまま鳥居の柱に映って通る。……そこに屋根囲した、大なる石の御手洗があって、青き竜頭から湛えた水は、且つすらすらと玉を乱して、颯と簾に噴溢れる....
半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
くとも噴出さず、ちろちろちろちろと銀の鈴の舞うように湧いています。不躾ですが、御手洗で清めた指で触って見ました。冷い事、氷のようです。湧いて響くのが一粒ずつ、掌....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
男の顔も相斉しい。大悪相を顕じたのである。従って女の口を洩るる点々の血も、彼処に手洗水に湧く水脈に響いて、緋葉をそそぐ滝であった。 「あ。」 「痛い、刺って、」....
妖術」より 著者:泉鏡花
、蛇目傘をやや前下りに、すらすらと撫肩の細いは……確に。 スーと傘をすぼめて、手洗鉢へ寄った時は、衣服の色が、美しく湛えた水に映るか、とこの欄干から遥かな心に....
迷信解」より 著者:井上円了
くり、頭痛の願掛けをなさば、その験あること神のごとしといい、夜中盗難を防ぐには、手洗い鉢を家の中にふせて置けばよしといい、猫の逃げたるときに、暦を取りてその逃げ....
淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
集したもんだ。今と違って遊山半分でもマジメな信心気も相応にあったから、必ず先ず御手洗で手を清めてから参詣するのが作法であった。随って手洗い所が一番群集するので、....
ゴールデン・バット事件」より 著者:海野十三
位で引揚げさしていただきましょう」 帆村はうしろを向いて、そこにあった大理石の手洗に手を差出して、水道の栓をひねった。冷たそうな水がジャーッと帆村の手に懸った....