手燭[語句情報] »
手燭
「手燭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手燭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
た男文字の手紙を引き出すと風呂敷《ふろしき》に包み込んだ。そしてそれをかかえて、
手燭《てしょく》を吹き消しながら部屋《へや》を出ようとすると、廊下に叔母《おば》....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
るべし。五十ばかりの女は寝衣姿《ねまきすがた》のしどけなく、真鍮《しんちゅう》の
手燭《てしょく》を翳《かざ》して、覚めやらぬ眼を※《みひら》かんと面《おもて》を....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
蝶はひらひらと飛んで自分の寝巻の胸にはいった。 伝兵衛は妻のお富をよびおこして
手燭をともさせ、寝巻を払ってあらためたが、どこにも蝶の影は見えなかった。あなたの....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
で出逢った。 暗い物影にかくれて、おかんはそっと窺っていると、危うく消えかかる
手燭を下に置いて、お朝はまず鼠捕り粉の半分ほどを一と息に飲んだ。そうして、ふるえ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
怪我をされたらしい」 伝四郎は無言で引っ返したが、やがて店の者三、四人と共に、
手燭をかざして再び駈け付けると、その火に照らされた座敷の内には、行燈が倒れていた....
「灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
んです。いやどうも、とんでもないことになりました」 そう言って、風間老看守は、
手燭の蝋燭に火をつけようとするのだが、手がふるえて火が消えるので、何度も何度もマ....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
蔵の前へ連れてゆかれますと、土蔵の中にはさっきから待受けている人があるとみえて、
手燭の灯が小さくぼんやりと点っていました。わたくしも奥様の御用で二三度この土蔵の....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
や浪の音はいよいよ高くきこえます。 「ともかくも行ってみよう。」 父は枕もとの
手燭をとぼして、縁側へ出ました。母も床の上に起き直って様子をうかがっているようで....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
その夜に限って何事もなく、静かに。……寝ようという時、初夜過ぎた。 宰八が
手燭に送られて、広縁を折曲って、遥かに廻廊を通った僧は、雨戸の並木を越えたようで....
「琵琶伝」より 著者:泉鏡花
と吐胸をつきぬ。 されども渠は聞かざる真似して、手早く鎖を外さんとなしける時、
手燭片手に駈出でて、むずと帯際を引捉え、掴戻せる老人あり。 頭髪あたかも銀のご....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
した。そうして、消燈されたあとに読書したいと思うときの用意に持っている、汽車用の
手燭に火をつけると、窓がまたあいているので、僕はかつて経験したこともない、また二....
「魚妖」より 著者:岡本綺堂
の生簀のあたりで凄まじい物音がするので、家内の者はみな眼をさました。吉次郎はまず
手燭をとぼして蚊帳のなかから飛び出してゆくと、そこらには別に変った様子も見えなか....
「備前天一坊」より 著者:江見水蔭
違えて」と聴き馴れぬ女の声が、室の一隅で起った時に、悲鳴に驚いて店の方からお幸が
手燭を点けて急いで来た。 その光で見ると、白麻の衣に黒絽の腰法衣。年の頃四十一....
「父の怪談」より 著者:岡本綺堂
も旗本屋敷であるから、上便所までゆくには長い縁側を通らなければならなかった。母は
手燭も持たずに行くと、その帰り路に縁側のまん中あたりで、何かに摺れ違ったように感....
「活人形」より 著者:泉鏡花
いと床し。 得三は人形の前に衝と進みて、どれ、ちょっと。上※の被を引き上げて、
手燭を翳して打見|遣り、「むむ可々。と独言。旧のごとく被を下して、「後刻に高田が....