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手狭
「手狭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手狭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奇怪な再会」より 著者:芥川竜之介
の初冬《はつふゆ》だった。
妾宅は御蔵橋《おくらばし》の川に臨んだ、極《ご》く
手狭な平家《ひらや》だった。ただ庭先から川向うを見ると、今は両国停車場《りょうご....
「二老人」より 著者:国木田独歩
ばかりの細長い庭には棚《たな》を造り、翁の楽しみの鉢物《はちもの》が並べてある。
手狭であるが全体がよく整理されて乱雑なさまは毛ほどもなく、敷居も柱も縁もよくふき....
「鼻」より 著者:ゴーゴリニコライ
午前三時まで競売というようなのもあった。すべてこうした連中の押しかけていた部屋は
手狭であったため、室内の空気がひどく濁っていた。けれど、八等官のコワリョーフはそ....
「岩石の間」より 著者:島崎藤村
次第に減って行った。皆な黙って働くように成った。 教員室は以前の幹事室兼帯でも
手狭なので、二階の角《すみ》にあった教室をあけて、そっちの方へ引越した。そこに大....
「食魔」より 著者:岡本かの子
板の上に置かれた。 素人の家にしては道具万端整っている料理部屋である。ただ少し
手狭なようだ。 若い料理教師の鼈四郎は椅子に踏み反り返り煙草の手を止めて戸外の....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
一口差上げ、にっこり笑ってお別れにしたら宜かろう」 甲「これは至極|宜しい、宅は
手狭だが、是なる者は拙者の朋友で、可なり宅も広いから、ちょっと一献飲直してお別れ....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
ます」 相「善藏はまだ帰らないか、長いなア、お菓子を持って来い、殿様御案内の通り
手狭でございますから、何かちょっと尾頭附で一|献差上げたいが、まアお聞き下さい、....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
だ。陰謀の手証を掴むことができない」 「これはごもっともでございますな。それでは
手狭でも私の家に、こっそりお在で遊ばしては」 「いやいやそれも妙策でない。人の出....
「霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
いのです、手前の妻は五年|前に歿しまして、それからは独身で居ります、へえ、至って
手狭ではありますが、些とお立寄を願いとうございます」 女「はい……まだ私は参った....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
んが、次郎にとって、いよいよ不愉快な存在になって来たことは、言うまでもない。家が
手狭なだけにお祖母さんの言うこと、することが、始終彼の頭を刺戟した。一緒に食卓に....
「坑鬼」より 著者:大阪圭吉
ったからでもあり、また坑道は炭車の通行に必要な程度にしか設計されていず、なにかと
手狭で、そうした支障のために少しでも出炭率の低下するのを恐れたからでもあった。 ....
「鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
ぬ間に減るばかりで、土地を離れたらどうなるやらと、この子もいる事ですから、こんな
手狭なのに送ってもらいました。」 「さぞかしお荷造が大変でございましたでしょう。....
「真珠の首飾り」より 著者:神西清
宿りならず、というじゃありませんか』と、僕は言いました、『心というものは、そんな
手狭なもんじゃありません。お父さんへの愛も愛なら、良人にたいする愛も愛です。それ....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
は、はあ、雪の家さん。」どうも雪の家という響き、何、響くほどの広さじゃない。あの
手狭ですから、直ぐそこに、馬鹿な……受話器に向ったものの顔も白いように聞えて優し....
「はつ恋」より 著者:神西清
爵夫人は、裕福な婦人でありようはずがなかった。彼女の借りた傍屋は、いかにも古びて
手狭で、おまけに天井の低い家なので、いくらか小金を持った連中なら、とても住む気に....