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手箪笥
「手箪笥〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手箪笥の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「新世帯」より 著者:徳田秋声
少しずつ豊かになって来た。手廻りの道具も増えた。新吉がどこからか格安に買って来た
手箪笥や鼠入らずがツヤツヤ光って、着物もまず一と通り揃った。保険もつければ、別に....
「足迹」より 著者:徳田秋声
った父親は、自家の始末より、大きな家の世話役として役に立つ方であった。 叔母は
手箪笥や手文庫の底から見つけた古い証文や新しい書附けのようなものを父親の前に並べ....
「黴」より 著者:徳田秋声
てみるのが好きであった。それは子供のおり田舎の家の暗い押入れにある母親の黴くさい
手箪笥や文庫のなかを捜すとちょうど同じような心持であった。けれど書き物と言っては....
「爛」より 著者:徳田秋声
良人の傍に長く坐っていられなかった。 「あの静ちゃんがね。」 細君は、押入れの
手箪笥のなかから、何やら古い書類を引っくら返している良人を眺めながら、痩せた淋し....
「雪之丞変化」より 著者:三上於菟吉
立上って、次の間にはいった。そして、象牙彫《ぞうげぼ》りの仕事場の隅におかれた、
手箪笥《てだんす》をゴトゴトやっていたが、やがて、小さな象牙彫りの印籠《いんろう....
「栃の実」より 著者:泉鏡花
ある。 すかすと、きめに、うすもみじの影が映る。 私はいつまでも持っている。
手箪笥の抽斗深く、時々|思出して手に据えると、殻の裡で、優しい音がする。....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
銀行で請取っておいでなすったという、ズッシリと重いのが百円ずつで都合五枚。 お
手箪笥の抽斗から厚紙に包んだのをお出しなすって、私に頂かして下さいました。 両....
「今戸心中」より 著者:広津柳浪
た》を開けた硯箱《すずりばこ》の傍には、端を引き裂いた半切《はんきれ》が転がり、
手箪笥の抽匣《ひきだし》を二段斜めに重ねて、唐紙の隅《すみ》のところへ押しつけて....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
っていた。 まず女の一団が、にわかに刀を抜き揃え、行列の人数へ切り込むや、お勝
手箪笥を担いでいた侍と、献上箱を担いでいた侍とが、お勝
手箪笥や献上箱を捨てて、こ....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
雪が、顔を上げると、拝領物を飾る棚、重豪公の手らしい、横文字を書いた色紙、金紋の
手箪笥、琴などが、綺麗に陳《なら》んでいた。そして、その前で、梅野は、紙張りの手....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
を決め、二十一年の十二月の大晦日の晩、手附けの金を懐にし(この金は封を切ったまま
手箪笥の抽斗に入れて手を附けずに置きました。万一間に合い兼ねた時、これがなくなっ....
「蓮月焼」より 著者:服部之総
ままにかき載せます。さてその泥坊が尼さんに金を借してくれよというに、少しも騒がず
手箪笥《てだんす》の中から一|包《つつみ》の金(百円包のよし)を取出し与えますと....