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「手荷物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

手荷物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
城のある町にて」より 著者:梶井基次郎
彼は、朝も早いのに荷物を出すなんて面倒だから、今夜のうちに切符を買って、先へ手荷物で送ってしまったらいいと思って、 「僕、今から持って行って来ましょうか」と....
高野聖」より 著者:泉鏡花
が家号《やごう》を呼立《よびた》てる、中にも烈《はげ》しいのは、素早《すばや》く手荷物を引手繰《ひったく》って、へい難有《ありがと》う様《さま》で、を喰《くら》....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
つの旅である。しかも見たところでは、この娘はなんの旅支度もしていない。笠もなく、手荷物もなく、草鞋すらも穿いていない。彼女は浴衣の裳さえも引き揚げないで、麻裏の....
婦系図」より 著者:泉鏡花
車場の、まばらな、陰気な構内も、冴返る高調子で、主税を呼懸けたのは、め組の惣助。手荷物はすっかり、このいさみが預って、先へ来て待合わせたものと見える。大な支那革....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
思ったから、持って来た書籍のうち、最も入用があるのだけを取り出して、風呂敷包みの手荷物を拵えた。 遅くなるから、遅くなるからと、たびたび催促はされたが、何だか....
三の字旅行会」より 著者:大阪圭吉
婦人客達には、一人の人の好さそうな男が出迎えに出ていて、その出迎えの男に持たせる手荷物には、きまって、赤インキで筆太に、三の字を書いた、小さな洒落れた荷札がつい....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
菊の縋った、霜の翁は、旅のあわれを、月空に知った姿で、 「早く車を雇わっしゃれ。手荷物はあり、勝手知れぬ町の中を、何を当にぶらつこうで。」と口叱言で半ば呟く。 ....
わがまま」より 著者:伊藤野枝
当に結構でした」 と傍のまき子の方に顔を向けた。叔父は忙しそうにそわそわしながら手荷物の世話などしはじめた。 登志子は呆然とそこに立っていた。永田に言葉をかけ....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
岸へ行ったんで――また小児のために、それが何よりの目的なんでね。 来たてには、手荷物の始末、掃除の手伝いかたがた、馬丁と、小間使と女中と、三人が附いて来たが、....
星女郎」より 著者:泉鏡花
ると貴下、何とその横縁に、これもまた吃驚だ。私のいかがな麦藁帽から、洋傘、小さな手荷物ね。」 「やあやあ、」 「それに、貴下が打棄っておいでなすったと聞きました....
花束の虫」より 著者:大阪圭吉
道理、その品と言うのは、今朝三人が屏風浦の別荘を引挙げた時に、比露子夫人の唯一の手荷物であり、秋田自身で銚子駅迄携えてやった、あの派手な市松模様のスーツ・ケース....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
しそれよりも、あなたの疾病を癒したといったほうが本当ですよ。さあ、出来るだけ早く手荷物をまとめて、キッティ嬢の愛を得に飛んでいらっしゃい」 私は彼の親切に対し....
火の扉」より 著者:岸田国士
。 スーツケースに片ひじをついたまゝ、康子は、うつら/\していた。 その時、手荷物扱所の硝子戸をガラリと開けて、さつきの駅員が顔をつきだし、 「そこで待つな....
取舵」より 著者:泉鏡花
て四辺を※せり。 狼藉に遭えりし死骸の棄てられたらむように、婦女等は算を乱して手荷物の間に横われり。 「やあ、やあ! 惨憺たるものだ。」 渠はこの惨憺さと溽....
扉の彼方へ」より 著者:岡本かの子
て、自分は年始廻りやら、正月の交際を済まして五日の日に宿へ来た彼は、割合に荷嵩な手荷物やらゴルフの道具やらを持ち込んだ。私は宿の女中に手伝って貰って、一先ずそれ....