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手証
「手証〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手証の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
洩《もら》したお島は、それを又お鈴から聞いて、宛然《さながら》姦通《かんつう》の
手証《てしょう》でも押えたように騒ぎたてる、隠居の病的な苛責《かしゃく》からおゆ....
「両国の秋」より 著者:岡本綺堂
いたいことがあった。列び茶屋のお里のことが胸いっぱいにつかえていながらも、確かな
手証《てしょう》を見とどけていない悲しさには、さすがに正面から切り出すのを差し控....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
るめえね」 「それがどうも判りませんの」と、お登久は妬ましそうに云った。「確かな
手証は見とどけませんけれど、合羽坂の質屋にいた時分から何か引っ懸りがあるように思....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
かれて、楽屋の廊下に投げ出されていた。無論に冠蔵の仕業であろうとは思ったが、その
手証を見とどけたわけでもないので、紋作はじっと堪えてなんにも云わなかった。勿論、....
「空を飛ぶパラソル」より 著者:夢野久作
塚警部は苦笑した。二三本|白髪の交った赤い鬚を、自烈度そうにひねりまわした。 「
手証が上らないからさ。あの姉歯という奴は、大学の婦人科に居った時分から、主任教授....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
が大きいぜ、滅多な事を云うなよ」 「へえ、すみません。実はわっちの方にも之と云う
手証がねえもんですから、仰せの通り大きな声は出せねえのです。少しでも証拠がありゃ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
。 「どこへも行かない」 「冗談いっちゃいけない、今度という今度こそは、すっかり
手証《てしょう》を見たんだ。お前は、昨夜辻斬をしたな」 「そんなことがあるものか....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
よう。連れて紋兵衛も帯刀様も、手控えするに違いない。そうなったらお終いだ。陰謀の
手証を掴むことができない」 「これはごもっともでございますな。それでは手狭でも私....
「雪たたき」より 著者:幸田露伴
るうないことを仕居って、其召使が誤って……あらぬ男を引入れ、そして其のケチな男に
手証の品を握って帰られた……と知ったなら、広い海の上に居ても、大腹中でも、やはり....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
。こうして歩いているうちにはどこかで出会《でくわ》すだろう、出会したら後をつけて
手証《てしょう》を押えて町奉行へ訴え出るんだ。こっちも意地だ、キット尻尾《しっぽ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
な真似をしなくとものことだ。兵助さん、お前の言うことが真実《ほんとう》なら、何か
手証《てしょう》を見せておくんなさるめえか」 「そのことだ、正面を切って辞儀をし....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
ひそひそ話。 高い声では謂われぬことだが、お金子の行先はちゃんと分った。しかし
手証を見ぬことだから、膝下へ呼び出して、長煙草で打擲いて、吐させる数ではなし、も....
「ものの影」より 著者:豊島与志雄
附着していたというのは、たぶん本当のことだろう。更に一層本当のことは、石には彼の
手証が印せられていた筈だ。 松の古木は、横へ低く枝をひろげている。葦の茂みは、....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
の出しゃばりだろうが、お気の毒だが、でんぐりけえすぞ、そう思って貰おう。こッちに
手証《てしょう》があがった」 顎十郎は、すこし真顔になって、 「出しゃばりとか....
「山の人生」より 著者:柳田国男
あり、いろいろと寺のために働いて、のちにいなくなったというのみならず、何か末世の
手証となるものを、遺して往ったという例はたくさんにある。禅宗の和尚たちはこれを怪....