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手蹟
「手蹟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手蹟の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「葱」より 著者:芥川竜之介
ろうと思って、好奇心からわざわざ眼を通して見た。すると意外にもこれは、お君さんの
手蹟《しゅせき》らしい。ではお君さんが誰かの艶書に返事を認《したた》めたのかと思....
「星座」より 著者:有島武郎
かに父からの手紙だった。園は坐りも得せず、その手紙を取り上げてみた。たしかに父の
手蹟に相違なかった。ちびた筆で萎縮《いしゅく》したように十一月二十三日と日附がし....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
青侍を出してやって、師道は再び料紙を手に取って眺めた。容貌《きりょう》といい、
手蹟《しゅせき》といい、これほどの乙女が地下《じげ》の者の胤《たね》であろう筈が....
「ニッケルの文鎮」より 著者:甲賀三郎
りであったのが、彼の翻訳の原稿の書き損ないでも入っていたと見えて、この反故に彼の
手蹟があります。私は実は古田にドイツ語を習った事があるので、彼の
手蹟はよく知って....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
「松下一郎?」 「えゝ、私はね、どうもそれが支倉の変名じゃないかと思うのです。
手蹟がね、例のそらお宅で見せて貰った脅迫状によく似ているのです」 「で、所は分ら....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
均一で、Doctor, The Teacher, と署名してあった。この司配霊の
手蹟はいつも同一で、一見その人と知ることができた。彼は私にとりて一の実在であり、....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
市兵衛殿と記し、松浦弥左衛門という我が名を大きく書いて、書判も据えてあった。その
手蹟も拙なからず、武士らしい手筋とみえた。本文の書状のうちには、二分判一つを入れ....
「世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
勘定の請求書ででもあるのかと、非常に不安な心持ちで開封すると、たちまちヘルマンの
手蹟に気がついた。 「間違えているのではありませんか」と、彼女は言った。「この手....
「俊寛」より 著者:倉田百三
を手に取り裏を返し、表を返しして見る。おのれを制することあたわざるごとく)母上の
手蹟だ。(感動に堪えざるごとく)あゝ。 康頼 (手紙を握りしめ)わしはどんなに飢....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
したのう。そこでわしはこの旨お館に申し、更に奥方様のお手を借り、大奥の腰元全部の
手蹟を、残るところなく調べたのだ。するとどうじゃ、八重めの文字が、隠語の文字と同....
「光り合ういのち」より 著者:倉田百三
な」 「鈴子書いて張り出しなさい」 鈴子は前のと二首書いて張り出した。きれいな
手蹟なのには感心した。 「血を吐くという意味があるか、どうかは知らないがたしかに....
「入れ札」より 著者:菊池寛
初めて感ずるような羞恥と、不安と、悔恨とで、胸の裡が掻きむしられるようだ。自分の
手蹟を、喜蔵が見覚えては、いはしないかと思うと、九郎助は立っても坐っても居られな....
「鼻に基く殺人」より 著者:小酒井不木
極同情を寄せ居れり この二枚の切抜に続いて、「犯罪日誌」の四文字が記され、弘の
手蹟で、細かな文字が、その後の幾頁かを埋めて居た。由紀子は、今はもうすっかり腰を....
「呪われの家」より 著者:小酒井不木
かったが、その三字が何を意味するのか、もとよりわかろう筈がなく、朝井刑事は、その
手蹟を保存するために、その文字を写真に撮影させた。 十数日来雨が降らなかったの....
「消えた霊媒女」より 著者:大倉燁子
は白の角封筒にかかれた妻宛の一通の手紙でした。差出人の名はありませんが明かに男の
手蹟です。それもかなり古いらしく処々に汚点があります。私は何か見るべからざるもの....