手金[語句情報] »
手金
「手金〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
手金の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「蘭学事始」より 著者:菊池寛
に余る三両という大金だった。が、彼は前後の思慮もなかった。懐中していた一朱銀を、
手金としてその通辞に渡すと、彼は金策のために、藩邸へ馳《は》せ帰った。 彼が、....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
そうでございますな」と、孫十郎も当惑の額《ひたい》をなでた。「なにぶんにも、もう
手金《てきん》まで頂戴して居りますので……」 「それは判っている。当方の無理も万....
「名人長二」より 著者:三遊亭円朝
、長二は宜く見もいたさずに押戻しまして、 長「板をよこして注文なさるんですから
手金なんざア要りません、出来上って見なければ手間も分りませんから、是はお預け申し....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
す。江州からはたよりが無い。財布は日に/\軽くなる。彼は到頭粕谷の地所にきめて、
手金を渡した。
手金を渡すと、今度は彼があせり出した。万障一排して二月二十七日....
「松と藤芸妓の替紋」より 著者:三遊亭円朝
国人のところに一人の妹をらしゃめんにするとって、私を横浜に置去りにして、五十両の
手金を持ってお逃げなすった事をお忘れなすったかよ」 徳「いさゝか覚えて居りますな....
「霧陰伊香保湯煙」より 著者:三遊亭円朝
年も或は七年も八年もございますが、何十円と定めまして、其の内|前金を遣ります。皆
手金の前借が有ります。それで夏冬の仕着を雇主より与える物でございます。これは機織....
「現代の詐術」より 著者:坂口安吾
らない条件をなんとか用意する策戦はぬかりなく心得ている。 昔からありふれたのに
手金サギというのがあったが、近ごろのは全額前払い、そう変ったゞけなのだろう。 ....
「文化祭」より 著者:坂口安吾
ビラ百枚と入場券五千枚を持ってきた。印刷屋にも青年団の契約書を入れてきただけで、
手金も払っていない。この借金を撃退するのが、また彼の後日のタノシミなのである。 ....
「現代忍術伝」より 著者:坂口安吾
。運賃も人件費も格安であるから、オレの材木は安いぞ。三千万円ほど譲ってやるから、
手金を持ってくるがよい。社長をつれてくるのがよいな」 親分は才蔵の返答などはト....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
「なア。一助。このハリガミだぜ。頭髪のチヂレたる人入用。大男ほどよろし、とある。
手金十円、後払い五十円。地方巡業一ヶ月の予定。日本壮士大芝居。ハハア。政治芝居の....
「染吉の朱盆」より 著者:国枝史郎
軒別に這入って訊くのであった。 「染吉の朱盆、ありましょうか?」 あるといえば
手金を打ち、買取る約束をするのであった。 実際のところ染吉の朱盆は、極めて数が....
「幕末維新懐古談」より 著者:高村光雲
方で金額の半金を入れてもらわなければ仕事に取り掛かれないといいますから、二十円の
手金を打って、五月までにはきっと間違いなく花川戸の河岸へ着けてくれるように約束し....
「濹東綺譚」より 著者:永井荷風
」 「じゃ、ほんとにおでん屋をやるつもりか。」 「あしたの朝、照ちゃんが来るから
手金だけ渡すつもりなの。だから、あなたのお金は当分遣わずに置いて下さい。ね。昨夜....
「春泥」より 著者:久保田万太郎
るよ。……だまってそんな不人情な真似はしないよ。」 「そんなことをいって、お前、
手金まで取ったんじゃァねえか。」 「
手金まで?」 「そうじゃァねえか。――しかも....
「『唯研ニュース』」より 著者:戸坂潤
め新宿の何とか荘という怪しげな六畳の日本間を仮事務所として契約したが、金を借りて
手金にすべく持って来る筈の、同君の姪が約束通りにやって来ない。どうしたのかと思っ....