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「手風〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

手風の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
手紙」より 著者:芥川竜之介
》ばかりいます。一人《ひとり》は二十七八の女です。この女は何も口を利《き》かずに手風琴《てふうきん》ばかり弾《ひ》いています。が、身なりはちゃんとしていますから....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
それから近世になって、伊太利の大霊媒ユーザピア・パラルディノが、金網の中に入れた手風琴を動かしたけれども、肝腎の音色については、狂学者フラマリオンすら語るところ....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
、紫地に白く「千歳村粕谷少年音楽隊」とぬいた横旗を立てゝ、村の少年が銀笛、太鼓、手風琴なぞピー/\ドン/\賑やかに囃し立てゝ行く。入営者の弟の沢ちゃんも、銀笛を....
安重根」より 著者:谷譲次
つのだよ。待ちさえすれば、その時機は必ず来る――。 反対隣りの乾物屋に灯が点く。手風琴と唄声は消えようとして続いている。間。 老婆 そんなものでしょうねえ、ほん....
映画芸術」より 著者:寺田寅彦
知らず知らずつり込まれ引きずられて行く。たとえば「パリの屋根の下」で町の歌い手が手風琴をひいて歌っている。その歌い手と聴衆が繰り返し繰り返し映写される。しかしそ....
草藪」より 著者:鷹野つぎ
と共に私の名札とならんで、坂上とよ子の名札が、入口の扉の上に掲げられた。 運転手風のひとが、夜具や行李や風呂敷包や、いろいろ運び入れているあとから、四十年配の....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
たそがれのかげを引いて長く吠えた。 日露戦争の癈兵らしい老人がふたり、ひとりは手風琴を、他はヴァイオリンを鳴らして路傍に物乞いしている。跛足と盲らだ。「無眼之....
鴉と唱歌」より 著者:寺田寅彦
な新宅の設備にかかっている間に、年老った方の男一人は客車の屋根の片端に坐り込んで手風琴を鳴らしながら呑気そうな歌を唄う。ところがその男のよく飼い馴らしたと見える....
巴里の唄うたい」より 著者:岡本かの子
彼等は繩張のことで血腥い喧嘩もよくする。 はやり唄は場末の家の建壊しの跡などへ手風琴鳴しを一人連れて風の吹き曝しに向って唄い出す。また高いアパルトマンの間の谷....
女難」より 著者:国木田独歩
途で二三の年若い男女に出遇った。軽雲一片月をかざしたのであたりはおぼろになった。手風琴の軽い調子が高い窓から響く。間もなく自分の宅に着いた。 三 縁....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
公子のような気がした。生れがよくて、調子が高くて、性急な劇しい情熱を持っていた。手風琴など天才的にうまかった。教科書や試験勉強などかまわずに、外国の本を読んでい....
少年の食物」より 著者:木村荘八
分からよく描いていましたが、同時に鳴物が好きで、種々の楽器を好んで鳴らしました。手風琴、吹風琴、ハーモニカ、明笛など。或いは楽器で遊んだ時間が子供の中は一番多か....
手風」より 著者:小川未明
んが、自分の小舎にもどって、まだ間がなかったのでした。どこからか、風におくられて手風琴の音がきこえてきたのでした。 「まだ、別荘にいる人たちででもあるかなあ。」....
頸の上のアンナ」より 著者:神西清
て来た。汽車が中間駅に停ったのであった。プラットフォームの向うの人混みのなかで、手風琴だの安っぽいきいきい言う胡弓だのを賑やかに弾いていた。それから、月光の流れ....
鉄の処女」より 著者:大倉燁子
一応事務所へ帰ろうと思って、二人は足早やに電車道まで出て来ると、そこに一人の運転手風の男が、待ち受けてでもいたように、つかつかと前に来て帽子を脱いで頭を下げた。....