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「打ち込む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

打ち込むの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
一夕話」より 著者:芥川竜之介
小えんの身になって見れば、上品でも冷淡な若槻よりも、下品でも猛烈な浪花節語りに、打ち込むのが自然だと考えるんだ。小えんは諸芸を仕込ませるのも、若槻に愛のない証拠....
老妓抄」より 著者:岡本かの子
えて、思わず肺の底へ息を吸わした。だが、それは刹那《せつな》的のものだった。心に打ち込むものはなかった。 若い芸妓たちは、娘の挑戦を快くは思わなかったらしいが....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
と、毛に隠されて容易に判りません。これなぞも大工の考えそうなことで、長い釘を一本打ち込むのでも、素人では手際よく行かないものです。 頭へ釘を打ち込まれたら即死....
乱世」より 著者:菊池寛
本となく高い柱をこさえていることは明らかだった。そして、一方の端を、土の中へでも打ち込むように尖らせているのだった。そのうちに、そうした丸い柱の数も格之介にはわ....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
という信号がかかったので、今までも気づかいながら仕事を続けていた漁船は、打ち込み打ち込む波濤と戦いながら配縄をたくし上げにかかったけれども、吹き始めた暴風は一秒....
耽溺」より 著者:岩野泡鳴
女の黒いのはむしろ無精だからであると僕には思われた。 「磨いて見せるほどあたいが打ち込む男は、この国府津にゃアいないよ」とは、かの女がその時の返事であった。 ....
電気風呂の怪死事件」より 著者:海野十三
裕を持っていた。 だが、見渡したところ、浴室の窓が開いている訳でもなし、吹矢を打ち込む隙間があろうとも思われなかった。と、赤羽主任の頭にさっと閃いたのは、由蔵....
修禅寺物語」より 著者:岡本綺堂
は生なき粗木を削り、男、女、天人、夜叉、羅刹、ありとあらゆる善悪邪正のたましいを打ち込む面作師。五体にみなぎる精力が、両の腕におのずから湊まる時、わがたましいは....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
名を唱え、又八百万の神々にお願いして、できる丈きたない考えを払いのける事に精神を打ち込むのでございます。もとより肉体はないのですから、現世で行るような、斎戒沐浴....
「別居」について」より 著者:伊藤野枝
は、私はあまりに貧弱な自分に愛想をつかしましたから。それから、それに私のすべてを打ち込むには、子供と私の間にたくさんの異った分子がはいっていました。そしてそれを....
イワンの馬鹿」より 著者:菊池寛
んで来て、立っていることも出来なくなりました。そこでイワンは、斧をその木の根元に打ち込むと、どっかり腰を下して休みました。 小悪魔はイワンが仕事をやめたのを見....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
樫の枝を鉈でこなして薪に束ねる。そういうこともよくしていた。 秋のすえである。打ち込む鉈の下から樫の枝が裂ける。痛い血を流すかわりに、樫の生木はその裂け目から....
番町皿屋敷」より 著者:岡本綺堂
が巣を組んでいる山の手へ登って来て、わざわざ喧嘩を売りゃあしねえ。こっちを溜池へ打ち込む前に、そっちが山王のくくり猿、お子供衆の御土産にならねえように覚悟をしな....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
風雨、怒濤ますますはなはだし。午後雨やみたるも、風力さらに加わり、海潮を甲板上に打ち込むこと幾回なるを知らず。船病者多し。ただし風位一変、西南より吹き来たるため....
ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
中でいかにたびたびこの三つの叫びを聴くことだろう!……そしてあたかも、一本の樹に打ち込む樵夫の斧の響きが森全体に反響するように、ベートーヴェンのこの偉大な叫びは....