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払う
「払う〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
払うの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
動を余儀なくさせられるところにある。現に今自分は、和泉屋市兵衛を逐い払った。逐い
払うということは、もちろん高等なことでもなんでもない。が、自分は相手の下等さによ....
「報恩記」より 著者:芥川竜之介
り誰か言葉もかけず、わたしの襟上《えりがみ》を捉《とら》えたものがあります。振り
払う、また掴《つか》みかかる、――相手は誰だか知らないのですが、その力の逞《たく....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
沙門《しゃもん》の心へ、懐郷《かいきょう》の悲しみを運んで来た。彼はその悲しみを
払うために、そっと泥烏須《デウス》(神)の御名《みな》を唱えた。が、悲しみは消え....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
うと、何《なん》でも契約書の文面によれば、「遺族または本人の指定したるもの」に支
払うことになっていました。実際またそうでもしなければ、残金二百円|云々《うんぬん....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
る滑稽であった。勿論彼等の間からは、喝采も歓呼も起らなかった。
彼は手足の砂を
払うと、やっとずぶ濡れになった体を起して、仲間の若者たちの方を眺めやった。が、彼....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
形は鸛《こう》にそっくりの鳥じゃ。この島の土人はあの肉を食うと、湿気《しっき》を
払うとか称《とな》えている。その芋《いも》も存外味は好《よ》いぞ。名前か? 名前....
「或る女」より 著者:有島武郎
》に帰ってしまうような事をした。それにも係わらず事務長はかつて葉子に特別な注意を
払うような事はないらしく見えた。それが葉子をますます不快にした。夜など甲板《かん....
「或る女」より 著者:有島武郎
ざんすわ。さ、お夕飯にしましょうね」
葉子はやがて自分の妄念《もうねん》をかき
払うようにこういって、女中を呼んだ。
貞世は寵児《ペット》らしくすっかりはしゃ....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
に渡すのだから、農場としては小作料を回収する上にこれほど便利な事はない。小作料を
払うまいと決心している仁右衛門は馬鹿な話だと思った。彼れは腹をきめた。そして競馬....
「星座」より 著者:有島武郎
園は歩きながら、我にもなくややともすると、熱い涙が眼に迫るのを感じた。そして振り
払うように眼を瞑《つむ》って、雪になるらしく曇った夜の空に、幾度も顔を仰向けねば....
「犬」より 著者:アンドレーエフレオニード・ニコラーエヴィチ
れも同じように饑渇に困められては居ながら、その家の飼犬だというので高慢らしく追い
払う。饑渇に迫られ、犬仲間との交を恋しく思って、時々町に出ると、子供達が石を投げ....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
かった。就中彼が畢生の心血を濺いだのは心霊問題で、之が為めには、如何なる犠牲をも
払うことを辞せなかった。彼が多忙な生活中に、閑を割いて面会を遂げた政治界、貴族社....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
た僕もこのペン・ネエムを用いていたことは、――僕は大きい書棚を後ろに努めて妄想を
払うようにし、丁度僕の向うにあったポスタアの展覧室へはいって行った。が、そこにも....
「ファラデーの伝」より 著者:愛知敬一
くい合金は出来まいか。」という質問をよこしたこともある。「実験に入要な費用は別に
払うから」ということまで、附記して来た。 ファラデーの返事は大抵簡単明亮であっ....
「ドモ又の死」より 著者:有島武郎
めながら)死はいかなる場合においても、おごそかな悲しいもんだ。だからかかる犠牲を
払うからには、俺がともちゃんのハズとして選ばれるくらいのことが必要になるんだ。 ....