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払底
「払底〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
払底の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
いたが、それらは多く得られないので、下等の矢には鳶の羽を用いた。その鳶の羽すらも
払底になった頃には、矢はすたれて鉄砲となった。そこにも需要と供給の変遷が見られる....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
して一宿へ金百両ずつを貸し渡されるよう。ただし十か年賦にして返納する。当時米穀も
払底で、御伝馬を勤めるものは皆難渋の際であるから、右百両の金子で、米、稗、大豆を....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
前につき三|分ぐらいの土産を持参しなければならない。半蔵は国から持って来た金子も
払底になった。もっとも、多吉方ではむだな金を使わせるようなことはすこしもなく、食....
「縮図」より 著者:徳田秋声
だわらず、すべてを貴方まかせというふうにしていればいられないこともないので、酒の
払底な今の時代でも、格別不自由も感じなかった。もちろん心臓も少し悪くしていた。こ....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
でしょう。」 帰る途中弁護士は話していた。 庸三はあッとなったものだが、材料
払底の折だったので、健康がやや恢復したところで、もう一度同行するように弁護士に当....
「獄中生活」より 著者:堺利彦
並んでとりつけてあるパイプの下に行って、銘々に頭と顔とを洗う。しかしその水は甚だ
払底で、儀式ばかりのようなものではあるが、何にせよ、我輩らの住んでいる角筈あたり....
「独本土上陸作戦」より 著者:海野十三
なって、さぞかし市民はたいへんであろう」 「おお金博士。仰有るとおりです。借間の
払底をはじめ、そのほかわれわれイギリス国民を困らせることが実に夥しいのです。この....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
れば、気も咎める。しかし、部屋があいて閉口しているベントレイ夫人は、この下宿人|
払底の世の中に日本人だろうが何だろうがそんなことを言ってはいられないし、それに事....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
、学校で私にとって大きな問題が勃発した。一学期の終り近い倫理の時間であった。教師
払底の時で、倫理を教える人は教頭という名目だけの凡そ倫理とかけはなれている音楽の....
「朝やけ」より 著者:豊島与志雄
。伯母さんは体を悪くして、田舎にひっこんだ。喜久子は一人で酒場を初めた。――建物
払底の折柄だ。都心近くのある半焼けのビルも、急速に修復されて、幾つもの事務所をぎ....
「一商人として 」より 著者:相馬愛蔵
は考えて見るのだが、さてこれを商品として売り出すようになりますと、原料は年一年と
払底して次第に山の奥深く入って採集せねばならなくなり、原料代は高くなって採集量は....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
、如何に小僧の欠乏しているかを示すところの一つの証拠である。何故かくの如く小僧の
払底を来たしたかというに、ちょうど女中
払底とその理由は同じである。貧家の子弟は尋....
「老狸伝」より 著者:佐藤垢石
谷合いの穴で、専門猟師が槍で突き殺したのであるという報せである。ご馳走が、極端に
払底なこの頃の世の中に、まことに難い饗饌だ。 私は上州、会津、雄鹿半島、紀州、....
「人身御供と人柱」より 著者:喜田貞吉
場合において、その間引きの犠牲となるのは女児であるから、自然にその社会には婦女の
払底を生ずる。これは今も内地の生活に困難な漁村などにおいて、往々実見せられるとこ....