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「托鉢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

托鉢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
両国の秋」より 著者:岡本綺堂
に薬鍋を温めにかかった。粥《かゆ》をたべるかと訊いたら、お絹は黙って首を振った。托鉢《たくはつ》の坊主が門《かど》に立って鉦《かね》を叩いたので、お君は出て行っ....
恩讐の彼方に」より 著者:菊池寛
りであった。第三、第四、第五と、市九郎は懸命に槌を下した。空腹を感ずれば、近郷を托鉢し、腹満つれば絶壁に向って槌を下した。懈怠《けたい》の心を生ずれば、只真言を....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ことになりました。勿論、貧乏寺で碌々に檀家もないのですから、住職も納所もそこらを托鉢《たくはつ》に出歩いたりして、どうにか寺を持っていたらしい。ところが、ここに....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
て出た小僧の勇吉も、黙って不思議そうに眺めていた。 僧は四十前後で、まず普通の托鉢僧という姿であった。托鉢の僧が店のさきに立つ――それは別にめずらしいことでも....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
なっている。その露路の奥に善昌という尼が住んでいる。以前は小鶴といって、そこらを托鉢の比丘尼であったが、六、七年前から自分の家に弁財天を祭って諸人に参拝させるこ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
かえ」 「ええ、ちょっと出まして」 徳次は女中に指図して、火鉢や茶を運ばせた。托鉢僧が来かかって、ここの店さきで鉦をたたいて去るあいだ、半七らは黙って茶を飲ん....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
無僧茸、のんべろ茸、生える、殖える。蒸上り、抽出る。……地蔵が化けて月のむら雨に托鉢をめさるるごとく、影|朧に、のほのほと並んだ時は、陰気が、緋の毛氈の座を圧し....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
。…… 墓参のよしを聴いて爺さんが言ったのである。 「ほか寺の仏事の手伝いやら托鉢やらで、こちとら同様、細い煙を立てていなさるでなす。」 あいにく留守だが、....
探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
ったことを説いていた。 狸尼 A君は語る。 「僕の郷里には狸が尼に化けていて、托鉢中に犬に咬み殺されたという古い伝説がある。現にその尼のかいた短冊などが残って....
清心庵」より 著者:泉鏡花
ゃ。米も塩も納屋にあるから、出してたべさしてもらわっしゃいよ。私はちょっと町まで托鉢に出懸けます。大人しくして留守をするのじゃぞ。) とそうおっしゃったきり、....
間人考」より 著者:喜田貞吉
すなわち下司法師の亜流で、三昧聖と呼ばれて葬儀の事にもあずかり、兼ねて警察事務、托鉢、遊芸その他駆使・雑職に従事した者であった。前引柳田君の「鉢叩きと其の杖」の....
空中征服」より 著者:賀川豊彦
ないのですが、婦人団体には奥様方で随分遊んでいる方もあるようだから、一つ一燈園で托鉢に出るつもりで懺悔奉仕の義勇労働をお願いしたいのです」 「そら、なんでもない....
消えた霊媒女」より 著者:大倉燁子
に勝田さんに会ったのは鰐寺で逢いましてから、恰度十日目の夕方でした。玄関に一人の托鉢僧が黄色い布を身に巻きつけ、素足で立って居りました。私はお布施を手に持って出....
賤民概説」より 著者:喜田貞吉
なければならなかったのだ。同書に、神護景雲三年に京の或る優婆塞が、修行して加賀に托鉢していたところが、その処の浮浪の長たるものが、調を責めてこれを凌轢したが為に....
俗法師考」より 著者:喜田貞吉
を蓄え、地方政治の頽廃とともにその数も次第に増加したものであろうから、単に歴門の托鉢のみでは生活することができず、はては雑職・雑芸を兼業として、やっと衣食の途を....