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投げ
「投げ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
投げの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
かれん》な顔を現してしまう。踊り子は静かに窓をあけ、小さい花束《はなたば》を下に
投げる。
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往来に立った少年の足もと。小さい花束が....
「一夕話」より 著者:芥川竜之介
である。彼は昔ある対校試合に、左の臂《ひじ》を挫《くじ》きながら、五人までも敵を
投げた事があった。――そういう往年の豪傑《ごうけつ》ぶりは、黒い背広《せびろ》に....
「影」より 著者:芥川竜之介
ゃ今夜買って頂戴。」
女は咄嗟《とっさ》に指環を抜くと、ビルと一しょに彼の前へ
投げた。
「これは護身用の指環なのよ。」
カッフェの外《そと》のアスファルトに....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
が旧弊好きなら、あの開化な細君はどうするのだ。』と、探《さぐ》りの錘《おもり》を
投げこみました。すると三浦はしばらくの間、私の問が聞えないように、まだ月代《つき....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
ょあん孫七《まごしち》、じょあんなおすみ、まりやおぎんの三人は、土の牢《ろう》に
投げこまれた上、天主《てんしゅ》のおん教を捨てるように、いろいろの責苦《せめく》....
「お律と子等と」より 著者:芥川竜之介
験はまだ始らなかった?」
慎太郎は体を斜《ななめ》にして、驚いた視線を声の方へ
投げた。するとそこには洋一が、板草履を土に鳴らしながら、車とすれすれに走っていた....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
。もう五分、――いや、もう一分たちさえすれば、妙子は達雄の腕《かいな》の中へ体を
投げていたかも知れません。そこへ――ちょうどその曲の終りかかったところへ幸い主人....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
じた。夫はやはり悲しそうに彼女の顔を眺めている。常子はもう一度夫の胸へ彼女の体を
投げかけようとした。が、嫌悪はもう一度彼女の勇気を圧倒した。
「あなた!」
彼....
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
た。ちょうど十日ばかり以前のある午後、僕等は海から上《あが》った体を熱い砂の上へ
投げ出していた。そこへ彼も潮《しお》に濡れたなり、すたすた板子《いたご》を引きず....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
御礼をするよ」 亜米利加人は惜しげもなく、三百|弗の小切手を一枚、婆さんの前へ
投げてやりました。 「差当りこれだけ取って置くさ。もしお婆さんの占いが当れば、そ....
「飯田蛇笏」より 著者:芥川竜之介
っちゃいけない。僕をして過たしめたものは実は君の諳誦なんだからな」とやっと冷笑を
投げ返した。と云うのは蛇笏を褒めた時に、博覧強記なる赤木桁平もどう云う頭の狂いだ....
「狂女」より 著者:秋田滋
じいッとしたままだった。 この落つき払った沈黙を、将校は、彼女が自分にたいして
投げてよこした最高の侮蔑だと考えて、憤然とした。そして、こうつけ加えた。 「いい....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
毎日腰をかけて来た肱掛椅子に腰を下ろした時に、ふと自分の周りにあるものの上に眼を
投げた。と、私は気が狂ってしまうかと思ったほど劇しい悲哀にとらわれてしまった。私....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
は、自分の小さな帝国である教室に君臨するときの圧迫的な威厳や絶対支配権をいっさい
投げうって、おどろくほどやさしくなり、気に入られるようにした。彼は子供をかわいが....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
は、羨ましそうにそれを眺める。それは、殺すということが、生きものの心の中に自然が
投げ込む大きな歓喜に外ならないからである。生きものにとっては殺すということほど立....