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投げる
「投げる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
投げるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
かれん》な顔を現してしまう。踊り子は静かに窓をあけ、小さい花束《はなたば》を下に
投げる。
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往来に立った少年の足もと。小さい花束が....
「影」より 著者:芥川竜之介
寝室の戸へ押しつけていた。しかし彼の興奮が極度に達している事は、時々彼があたりへ
投げる、気違いじみた視線にも明かであった。
苦しい何秒かが過ぎた後、戸の向うか....
「河童」より 著者:芥川竜之介
ういう声のわき上がった中に椅子《いす》は倒れる、プログラムは飛ぶ、おまけにだれが
投げるのか、サイダアの空罎《あきびん》や石ころやかじりかけの胡瓜《きゅうり》さえ....
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
それらの物を見るにつけても、彼はおのずから今の失敗が、彼の一生の労作に、暗い影を
投げるような――彼自身の実力が根本的に怪しいような、いまわしい不安を禁じることが....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
《しばらく》口を噤《つぐ》んだまま、薄笑いばかり浮かべていた。が、やがて巻煙草を
投げると、真面目《まじめ》にこう言う相談をしかけた。
「嶽麓《がくろく》には湘南....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
なった。この形勢を見た多勢の若者たちは、あの猪首《いくび》の若者がさし上げた岩を
投げると同時に、これまでよりは一層熱心にどっとどよみを作りながら、今度はずぶ濡れ....
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
らせて、すじかいに、空《そら》へ舞い上がった。と思うと、それがまた礫《つぶて》を
投げるように、落として来て、太郎の鼻の先を一文字に、向こうの板庇《いたびさし》の....
「春」より 著者:芥川竜之介
う猜疑《さいぎ》さえ生じた。すると辰子は弄《もてあそ》んでいた羽織の紐《ひも》を
投げるようにするなり、突然こう言う問《とい》を発した。
「母《かあ》さんは許して....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
れから又石の牛の額へ銭を投げてのせることに苦心したことも思い出した。こういう時に
投げる銭は今のように一銭銅貨ではない。大抵は五厘か寛永通宝である。その又穴銭の中....
「三つの宝」より 著者:芥川竜之介
行こうとする。 主人 もしもし御勘定を置いて行って下さい。 王子無言のまま、金を
投げる。 第二の農夫 御土産は? 王子 (剣の柄へ手をかける)何だと? 第二の農....
「まあまあ居士の弁」より 著者:浅沼稲次郎
マントを被った、柔道部、相撲部の連中が殴り込んで来た。中には、汚い話だが、糞尿を
投げるやつがある、あっちでも、こっちでも大乱闘が始まる。戸叶武君の如きは大隈侯の....
「或る女」より 著者:有島武郎
めつけられるように苦しいので、急いでボアをかいやって床《ゆか》の上に捨てたまま、
投げるように長椅子《ながいす》に倒れかかった。
それは不思議だった。葉子の神経....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
ちが、右往左往に走りまわるそのあたりを目がけて、君の兄上が手慣れたさばきと艫綱を
投げると、それがすぐ幾十人もの男女の手で引っぱられる。船はしきりと上下する舳に波....
「親子」より 著者:有島武郎
えたが、それでもすぐ言葉を続けて、 「そう、それでは俺しも寝るとしようか」 と
投げるように言って、すぐ厠に立って行った。足は痺れを切らしたらしく、少しよろよろ....
「釣」より 著者:アルテンベルクペーター
べからざる真面目の態度を以て、屹然として立っている。そして魚を鉤から脱して、地に
投げる。 魚は死ぬる。 湖水は日の光を浴びて、きらきらと輝いて、横わっている....