» 投げ出す

「投げ出す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

投げ出すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
歯車」より 著者:芥川竜之介
いことだった。僕はもう一度人目に見えない苦しみの中に落ちこむのを恐れ、銀貨を一枚投げ出すが早いか、※々このカッフェを出ようとした。 「もし、もし、二十銭頂きます....
宇宙尖兵」より 著者:海野十三
お、卓子や長椅子を放り出している。艇長は、最後には、艇内にいる三十八人の発狂者を投げ出す決心をしている」 「三十八人の発狂者を……」 いつの間にそんなにたくさ....
爬虫館事件」より 著者:海野十三
到な計画を持っていたものと思われる。 そこで帆村は大事にしていた切札を、ポイと投げ出す気になった。 「北外さん。隣りの爬虫館の蟒どものことですがね。皆で九頭ほ....
悪因縁の怨」より 著者:江見水蔭
い。 「や、お嬶さん、今日は一人で来たけれど、お茶代はズッと張込むよ。小判一枚、投げ出すよ」 「へへへへ、どうか沢山お置き下さいまし」 「いや、冗談じゃア無い、....
石塀幽霊」より 著者:大阪圭吉
なにか、あったんですか?」 「そいつア困った」と雄太郎君は明かにどぎまぎしながら投げ出すように、「いま、この秋森さんの門前で人殺し……」 「なんですって!」男は....
気狂い機関車」より 著者:大阪圭吉
て歩いたのです。そしてしかも、あの重い撥形鶴嘴は、この通り、自分より少しずつ先へ投げ出す様にして運びながら匐進したのです。それにもかかわらず、どうです、犯人の掌....
銀座幽霊」より 著者:大阪圭吉
ほうで、落第になってるじゃアありませんか」 「じゃアもう、誰もないぜ」 警部は投げ出すように反りかえった。 「あります」と西村青年は笑いながら、「澄ちゃんがあ....
灯台鬼」より 著者:大阪圭吉
に漂わせているのだ。 三 「……わからん」 ややあって、東屋氏が投げ出すように言った。 「さっぱりわからん……けれども、これだけのことはわかるね....
白妖」より 著者:大阪圭吉
「箱根の別荘から、熱海へ遠征に出た、酔いどれ紳士かなんかでしょう」 運転手が投げ出すように云った。 「追馳けてみようか?」 「駄目ですよ。先刻からやってるん....
涸沢の岩小屋のある夜のこと」より 著者:大島亮吉
うえの真の一路に向わしめるその力によって、わが掌に把握し得たものの一断片をここに投げ出すのだということに於て存したのである。つまらないよけいなことだが敢て附記した次第である。....
旅客機事件」より 著者:大庭武年
犯人はわかりました。それは練習機からはずれて飛んだ小さな鋼鉄の鋲でした」電話機を投げ出すように置くと池内が叫んだ。「幸いにして私の予想が当った事をうれしく思いま....
海亀」より 著者:岡本綺堂
「君はなんにも知らない……。」と、彼はちょっと不思議そうな顔をしたが、やがて又、投げ出すように言った。「いや、知らない方がいいかも知れない。」 「じゃあ、美智子....
温泉雑記」より 著者:岡本綺堂
たとしたらば、私はどんな処置を取ったであろうか。貫一のように何千円の金を無雑作に投げ出す力がないとすれば、所詮は宿の者に密告して、一先ず彼らの命をつなぐというよ....
籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
に輪をかけて三千両ほども撒き散らす。それじゃあとても堪《たま》らねえ」と、治六は投げ出すように言った。「去年江戸から帰ってすっかり堅気になって辛抱しなさるようだ....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
少年もその父もその姉もおなじく急いで帰ろうとする。少年はぶら下げていた煎餅の籠を投げ出すように姉に渡して、一番さきに駈け出してゆく。柝の音はつづいて聞えるが、幕....