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「投じる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

投じるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
HUMAN LOST」より 著者:太宰治
、院長、二階は未だ許可とってないから、と下の陰気な十五名ほどの患者と同じの病棟へ投じる。 一、ちくおんき慰安。私は、はじめの日、腹から感謝して泣いてしまった。新....
思想と風俗」より 著者:戸坂潤
のない分子が、小市民やブルジョア層から、経済上の余裕を利用して、入学志願者の群に投じることから生じるのだ、と私は云いたいのだ。こうした根本的な社会的不平等が、回....
日本イデオロギー論」より 著者:戸坂潤
に対するセンスを持たない「文学者」や「哲学者」で、さりとて又意識的に反動の陣営に投じるだけの悪趣味を有つ気にならぬ者達が、その人間的感官を初めてノビノビさせるこ....
現代唯物論講話」より 著者:戸坂潤
を持った光量子の運動そのものが又一つの客観的な実在現象だという、石原博士の主張に投じるものに他ならぬ。この場合考えられている実験が思考実験に過ぎぬということから....
現代日本の思想対立」より 著者:戸坂潤
の政策なのだが、それも単に一般世間や特には市民達の国防予算過大に対する反対意向に投じるためよりも、その選挙地盤であり、従ってその利害を代表する処の地方地主の歓心....
カラマゾフの兄弟」より 著者:ドストエフスキーフィヨードル・ミハイロヴィチ
は僕がエズイタ派の仲間へ走って、キリストの事業を訂正しようとしている連中の群れへ投じるだろうなんて、思ってるのかい? とんでもないこったよ! 僕はおまえに言った....
ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
《て》り渡り、寂然《じゃくねん》としている。 ついに彼は懶《ものう》げに網を投じる。水沫《しぶき》の立つ水の上に身をかがめて、見えなくなるまで網を見送る。し....
安吾巷談」より 著者:坂口安吾
十四日から十七日までだ。新聞小説の筆をおいたのが、十月十七日午前九時半。私は筆を投じると、 「アンマ!」 こう叫んだだけである。全身が強直した丸太であった。け....
人生案内」より 著者:坂口安吾
は案外ホンモノが少くて、一ツこんな問題で投書してみようなぞと勝手な悩みを創作して投じるのが少からぬそうで、担当の記者には一見してそれと分るけれども、この方がホン....
南国太平記」より 著者:直木三十五
の頭、牛の血、丁香、白檀、蘇合香、毒薬などというものは、人を呪い殺すために、火に投じる生犠の形であった。 黒煙が、薄く立昇ると、お由羅は、次々に護摩木を投げ入....
明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
トを持つ必要はない。お前さんは四万五千円で犬を買ったろう。犬に四万五千円の大金を投じるとは、なさけない人だね」 その席に坂西志保さんがいた。坂西さんは犬猫の大....
都会の中の孤島」より 著者:坂口安吾
た。 それはスパナーをひそかに処分するためだった。ついに彼はスパナーを川の中へ投じることに成功した。しかし、そこで精も根もつきはててしまった。再び屋根裏へ戻っ....
探偵小説壇の諸傾向」より 著者:平林初之輔
「遺伝」等の価値については世評半ばしていたようであるが、私は、ネガティブの一票を投じる。 題材や表現のしかたなどはちがっているが氏の小説にも、江戸川乱歩氏の小....
エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
らせておいて、自分はマーゲイトへウマを走らせた。海峡を渡って、オランダ戦争へ身を投じる決心だったのである。「生還すれば、私は歓迎されるだろう」とエセックスは当時....
ある完全犯罪人の手記」より 著者:酒井嘉七
その前に、この手記に「ある完全犯罪人の手記」と題づけ、ガラス瓶に封じこんで大川に投じる。私はこの総ての事実を闇に葬るべきか否かを運命の神の裁断にまかせたいのである。....