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投ずる
「投ずる〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
投ずるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
する結果、しばしば畸形な芸術を創造する惧《おそ》れがあるという意味である。時好に
投ずることのみを目的としている作者は別として、少しでも気魄《きはく》のある作者な....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
《ほしいまま》に洩《も》らす力さえ、――大樹の幹に頭を打ちつけるか、湖の底に身を
投ずるか、一気に自己を亡すべき、最後の力さえ涸《か》れ尽きていた。だから彼は心身....
「侏儒の言葉」より 著者:芥川竜之介
※
我我は如何なる場合にも、我我の利益を擁護せぬものに「清き一票」を
投ずる筈《はず》はない。この「我我の利益」の代りに「天下の利益」を置き換えるのは....
「性急な思想」より 著者:石川啄木
であると速了《そくりょう》して、あたかも入学試験の及第者が喜び勇んで及第者の群に
投ずるような気持で、(その実落第者でありながら。――及第者も落第者も共に受験者で....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
るのです。敬礼の際「頭右」と号令をかけ指揮官は刀を前に投げ出します。それは武器を
投ずる動作です。刀を投げ捨てて「貴方にはかないません」という意味を示した遺風であ....
「男女関係について」より 著者:大杉栄
の真実ではあるまいかという考えが漸次に頭をもたげて来て、ついにはそこに君の全身を
投ずるの冒険をあえてさせるまでに進んで来さえすれば、僕が他の女を棄てるかあるいは....
「明治十年前後」より 著者:淡島寒月
、トンビ合羽を着せたり、靴をはかせたりしている。そういうふうにしなければ、読者に
投ずることが出来なかったのである。そうしてさまざまに新しさを追ったものの、時流に....
「獄中消息」より 著者:大杉栄
は止めてくれ。汝等のうち罪なきものこれを打て。僕などはとうてい何人に向っても石を
投ずるの権利はない。 そんな事情から足下は一人の後見を失い、またほとんど唯一の....
「『十八時の音楽浴』の作者の言葉」より 著者:海野十三
に刺戟をうけ、科学というものに大きな興味をもっている。だから科学小説がその嗜好に
投ずるのである。 いかにこの青少年層が科学小説に対し熱意をもっていてくれるか、....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
ことをするものではありませんよ」と諄々と諭さるる深切。さては我をこの橋上より身を
投ずる者と思いてかくねんごろには言わるるよと心付きて恥かしく、人の来るを見れば歩....
「妖怪学」より 著者:井上円了
る現象は予定し難く、単純なる規則によりて生ずる現象は予定しやすし。例えば、銅銭を
投ずるがごときは極めて単純なる作用に似たるも、これによりてきたすところの結果は、....
「明治の文学の開拓者」より 著者:内田魯庵
も文芸に興味を持った当時の青年は、「文学士春の屋おぼろ」の名に奮起して身を文壇に
投ずる志を立てた。例えば二葉亭の如き当時の造詣はむしろ坪内君を凌ぐに足るほどであ....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
余人、仮装して海神ネプチューンの行列をなし、裁判を開き、有罪と認むるものを水中に
投ずる古例の祭式を擬し、大いに喝采を博す。毎回赤道を一過するときに、船中の余興に....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
も、十分の注意を要するなりと言えり。 彼の人又言えり。釣に適したる、一たび鈎を
投ずるを惜むこと金の如く、投ずれば、必ず好結果を期待して誤らず。恰も、台湾|生蕃....
「芝、麻布」より 著者:小山内薫
分の子は決して役者にはすまいと思った。その私が、今年はとう/\三男を旧役者の群に
投ずることになった。こないだ、震災後再築された市村の家の前を計らず久しぶりで通っ....