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「投入れ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

投入れの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
新生」より 著者:島崎藤村
見ている前で惜気もなくへし折って、それを焚付《たきつけ》がわりに鉄製の暖炉の中へ投入れた。画架やら机やら寝台やらが置いてある天井の高い部屋の内には火の燃える音が....
散華」より 著者:太宰治
ら、ざっとこぼれるように散って、小さい花吹雪を現出させる事がある。机上のコップに投入れて置いた薔薇の大輪が、深夜、くだけるように、ばらりと落ち散る事がある。風の....
聖書の読方」より 著者:内村鑑三
る、「若し汝の眼汝を罪に陥さば抉出して之を棄よ、そは五体の一を失うは全身を地獄に投入れらるるよりは勝ればなり」とある(同五章二十九節)、又|施済は隠れて為すべき....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
見るの間郎従四人|忽ち死亡す、而るに忠常彼の霊の訓に依つて、恩賜の御剣を件の河に投入れ、命を全うして帰参すといふ。古老曰く是れ浅間大菩薩の御在所、往昔より以降、....
琥珀のパイプ」より 著者:甲賀三郎
に逃げたのであった。 支配人は曲者が逃げ出すと、急いで助かった宝石を金庫の中へ投入れて、金庫を閉めるや否や、曲者を追ったのである。 多くの社員が駆付た時には....
菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
織「何も心得んとて、先方で立腹するところは尤もじゃアないか、喰物の中へ泥草履を投入れゝば、誰だって立腹致すのは当然のことじゃ、それから何う致した」 喜「へえ、....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
屋の若い者はガラガラと箱車を庭の内へ引き込んだ。箱にはアンペラを敷いて、牛の骨を投入れた。 「十貫六百――八貫二百――」 なぞと読み上げる声が屠場の奥に起った....
」より 著者:島崎藤村
豊世は行って了った。午後に、お種は折れ曲った階段を降りて、湯槽の中へ疲れた身を投入れた。溢れ流れる温泉、朦朧とした湯気、玻璃窓から射し入る光――周囲は静かなも....
錦染滝白糸」より 著者:泉鏡花
の娘) 撫子。円髷、前垂がけ、床の間の花籠に、黄の小菊と白菊の大輪なるを莟まじり投入れにしたるを視め、手に三本ばかり常夏の花を持つ。 傍におりく。車屋の娘。 撫....
雪たたき」より 著者:幸田露伴
前に平伏していた。 「チュッ、チュッ、チュ、チュ」 雀の声が一霎時の閑寂の中に投入れられた。 舳の松村の村はずれ、九本松という俚称は辛く残りながら、樹々は老....
歌行灯」より 著者:泉鏡花
身体が、舞いました。それだけより存じません。 もっとも、私が、あの、鳥羽の海へ投入れられた、その身の上も話しました。その方は不思議な事で、私とは敵のような中だ....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
夥兵立懸り、押取巻く、上手に床几を据えて侍控えいて、何やらむいい罵りしが、薪をば投入れぬ。 どろどろと鳴物聞えて、四辺暗くなりし、青白きものあり、一条左の方よ....
怪奇人造島」より 著者:寺島柾史
、あと三分で、爆発するだろ」 「えッ!」 「わしは、たった今、火薬庫に、導火線を投入れ、その先に火を点けて来たのさ。導火線は、あと三分。いや二分で、燃え尽きるだ....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
上り下りの人で押合いの混雑で、その中を分けて行くのです。大きな賽銭箱へおひねりを投入れてお辞儀をするのはお祖母様のまねです。気が附くと兄様が見えません。あたりを....
新古細句銀座通」より 著者:岸田劉生
れが本当の古き日本趣味者の心でなくてはならない。私としては自分をこのモダンの中に投入れる事はまっ平である。世はうつるのが至当であるが、しかし、幸に自分は古き日本....