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折襟
「折襟〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
折襟の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「毛利先生」より 著者:芥川竜之介
させるくらい、文字通り蒼然たる古色を帯びたものであった。しかも先生のうすよごれた
折襟には、極めて派手な紫の襟飾《ネクタイ》が、まるで翼をひろげた蛾《が》のように....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
にやにやほほ笑みながら、その間に相手の身のまわりを注意深く観察した。老紳士は低い
折襟に、黒いネクタイをして、所々すりきれたチョッキの胸に太い時計の銀鎖《ぎんぐさ....
「鼻」より 著者:ゴーゴリニコライ
刷の絵だけで、その絵というのは、靴下を直している娘と、それを木蔭から窺っている、
折襟のチョッキを着て、頤髯をちょっぴりはやした伊達者《だてもの》を描いたもので、....
「三四郎」より 著者:夏目漱石
はだいぶ離れて席を取った。あちらの角《かど》だから、遠く三四郎と真向かいになる。
折襟《おりえり》に、幅の広い黒襦子《くろじゅす》を結んださきがぱっと開いて胸いっ....
「思い出の記」より 著者:小泉節子
は昔から着けなかったようです。フロックコートを、仕方なく着ける時でもカラは極低い
折襟でした。一種の好みは万事につけてあったのてすが、自分の服装は少しも構わない無....
「二つの庭」より 著者:宮本百合子
ような古い幼な友達までが、世間並の方法でさわぐのはばかばかしかった。 痩型で、
折襟のカラーをつけて、こがたい官僚風な大臣であるその政治家の顔を思い出すと、伸子....
「暗黒公使」より 著者:夢野久作
って異様で、見事なものであった。 英国製らしい最上等の黒|羅紗に、青|天鵞絨の
折襟を付けた鉄釦の上衣を、エナメル皮に銀金具の帯皮で露西亜人のように締めて、緑色....
「魔都」より 著者:久生十蘭
白木綿を畳んでキリリと鉢巻をし、小隊別の番号のついた腕章を腕に巻いている。大抵は
折襟のシャツに腹掛をしているが、中にはこの寒空に素っ裸で守袋一つひっ背負《しょ》....
「復活祭」より 著者:久生十蘭
塗ったように赤いので、そのへんが七面鳥の喉袋《のどぶくろ》みたいにみえる。ごつい
折襟の作業服を着て、赤と白の水先旗をたてた港務部《ハアバア・セクション》のボイラ....