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折角
「折角〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
折角の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「疑惑」より 著者:芥川竜之介
心したのでございます。
ところがいよいよその運びをつけると云う段になりますと、
折角の私の決心は未練にもまた鈍り出しました。何しろ近々結婚式を挙げようと云う間際....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
る路の上へ下りて行け。」と、こう黒犬に云いつけました。
こっちは二人の侍です。
折角方々探しまわったのに、御姫様たちの御行方がどうしても知れないので、しおしお馬....
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
ゃ》って若殿様は、いつものように晴々と御笑いになりながら、
「その代りその方も、
折角これまで参ったものじゃ。序《ついで》ながら予の文を、姫君のもとまで差上げてく....
「神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
オルガンティノは茫然と、老人の顔を眺め返した。この国の歴史に疎《うと》い彼には、
折角《せっかく》の相手の雄弁も、半分はわからずにしまったのだった。
「支那の哲人....
「片恋」より 著者:芥川竜之介
てやっとやって貰うと、満員で横の隅の所にしか、はいれないんでしょう。そうすると、
折角その人の顔が映っても、妙に平べったくしか見えないんでしょう。私、かなしくって....
「奇遇」より 著者:芥川竜之介
× ×
編輯者 それは蛇足《だそく》です。
折角の読者の感興をぶち壊すようなものじゃありませんか? この小品が雑誌に載るのだ....
「湖南の扇」より 著者:芥川竜之介
こに待たせてあるんだ。」
* * * * *
僕は翌々十八日の午後、
折角の譚の勧めに従い、湘江を隔てた嶽麓《がくろく》へ麓山寺《ろくざんじ》や愛晩亭....
「蜘蛛の糸」より 著者:芥川竜之介
んず》の重みに堪える事が出来ましょう。もし万一途中で断《き》れたと致しましたら、
折角ここへまでのぼって来たこの肝腎《かんじん》な自分までも、元の地獄へ逆落《さか....
「葱」より 著者:芥川竜之介
。もう夜が明けるのも間はあるまい。外では寒そうな鶏《にわとり》の声がしているが、
折角《せっかく》これを書き上げても、いやに気のふさぐのはどうしたものだ。お君さん....
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
見物の老若男女《ろうにゃくなんにょ》さえも、ことごとく彼等を憎んだと云う。これは
折角《せっかく》の火炙《ひあぶ》りも何も、見そこなった遺恨《いこん》だったかも知....
「或恋愛小説」より 著者:芥川竜之介
の外に佇《たたず》んだまま、はかない幸福を夢みているのですよ。
主筆 それじゃ
折角《せっかく》の小説は……
保吉 まあ、お聞きなさい。妙子はその間も漢口《ハ....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
のない事実だとする事です。だからそう云う史料は始めから否定している僕にとっては、
折角《せっかく》の君の名論も、徹頭徹尾ノンセンスと云うよりほかはない。まあ待ち給....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
等は小鳥の囀《さえず》るように、口々に彼を呼びかけた。その声はほとんど宿命的に、
折角《せっかく》橋を渡りかけた素戔嗚の心を蕩漾《とうよう》させた。彼は彼自身の腑....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
とにしましたよ」 婆さんは嘲るように、じろりと相手の顔を見ました。 「この頃は
折角見て上げても、御礼さえ碌にしない人が、多くなって来ましたからね」 「そりゃ勿....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
。余も心退けて安からねば「いかなる所にても自活の道を求めたし」と言えば、深沢も「
折角我等を人がましく思いたまいて伯父ごより御添書ありしに学校へも入れ申さぬは不本....