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折鞄
「折鞄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
折鞄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
外にはそんな匂の出る筈《はず》はなかった。冬の外套《がいとう》の腋《わき》の下に
折鞄《おりかばん》を抱えた重吉は玄関前の踏み石を歩きながら、こういう彼の神経を怪....
「星座」より 著者:有島武郎
父は書類を取り上げながらこう尋ねた。待っていたと言わんばかりに、その男はまた
折鞄の中から他の書類を取りだした。
「それがこれになろうと言うんです。これがまた....
「国際殺人団の崩壊」より 著者:海野十三
だけに、筋ばかりで、描写が充分でないのは我慢していただきたい。 古ぼけた大きな
折鞄を小脇にかかえて、やや俯き加減に、物静かな足どりをはこんでゆく紳士がある。茶....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
た。 「おかえりなさいまし」お内儀のお妻は、夫の手から、印鑑や書付の入った小さい
折鞄をうけとると、仏壇の前へ載せ、それから着換えの羽織を衣桁から取って、長造の背....
「愚人の毒」より 著者:小酒井不木
ると、背広の夏服を着た青年紳士が一人の刑事に案内されて入ってきた。右の手に黒革の
折鞄、俗にいわゆる往診鞄を携えているのは、言わずと知れたお医者さんである。人間の....
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
そのとき出入口の重い扉がぎいと内側に開いて、肥《こ》えた赭《あか》ら顔の紳士が、
折鞄を片手にぶら下げて入って来た。 課員たちは一せいに立上って、その紳士に向っ....
「暗号の役割」より 著者:海野十三
から放れようとして、蹴つまずいた。足の先に、ずしりと重いものを突っ掛けた。見ると
折鞄が落ちていた。 彼はそれを拾いあげて、常夜灯の下まで持っていって改めた。こ....
「大脳手術」より 著者:海野十三
へ落ちて来た。それは立商売を始めてから四週日の金曜日の宵だったが、坂の上の方から
折鞄を小脇に抱えた紳士が、少しく酩酊の気味でふらふらした足取で、こっちへ近づくの....
「人造人間事件」より 著者:海野十三
ものですか」 と声をおとした。 ジョンと呼ばれる外人は、ずり落ちそうになった
折鞄を抱えなおした。 「ウララさん。もしやあの人は、何者かに殺されたのではないの....
「灯明之巻」より 著者:泉鏡花
すいた狼のように庫裡へ首を突込んでいて可いものか。何となく、心ゆかしに持っていた
折鞄を、縁側ずれに炉の方へ押入れた。それから、卵塔の草を分けたのであった。――一....
「「吶喊」原序」より 著者:井上紅梅
の上に落ちる。その時たまたま話しに来た人は、昔馴染の金心異という人で、手に提げた
折鞄を破れ机の上に置き、長衫を脱ぎ捨て、わたしの真前に坐した。犬を恐れるせいでも....
「光は影を」より 著者:岸田国士
てあることだし、慣例に従つて、一割のお礼をしたいと、その紳士は申し出た。そして、
折鞄から小切手帳を出して、その場で二千何百円という小切手を書こうとするのを、京野....
「暗号数字」より 著者:海野十三
。見て下さい。これです」 そういって木村氏が帆村の眼の前に持ち出したのは、黒い
折鞄であった。
折鞄のなかから現われたのは、一体なんであったろうか。それは四六....
「旅客機事件」より 著者:大庭武年
の如く報告した。 「――機体内に兇器とおぼしき物遺留されず。又被害者の所持品中の
折鞄は開放されて打ち捨ててあり、在中品は二三の書類を残して全部抜き去られ所在不明....
「俗臭」より 著者:織田作之助
人名儀にしたりして権右衛門の差押えにそなえた。 ある日、権右衛門は高利貸の如き
折鞄をもって伝三郎の家へやって来た。丁度伝三郎は人眼に立つ所、即ち家の前で土佐犬....