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抛つ
「抛つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
抛つの前後の文節・文章を表示しています。該当する8件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「永日小品」より 著者:夏目漱石
、毎日ブリチッシ・ミュージアムへ通う暇をこしらえたのだそうである。大学の椅子さえ
抛つくらいだから、七|志《シルリング》の御弟子を疎末《そまつ》にするのは無理もな....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
この「不可能」と「欲求」との間にさいなまれる。不可能であるという理由で私は欲求を
抛つことが出来ない。それは私として何という我儘であろう。そして自分ながら何という....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
寒い寂しい日であった。突然彼小笠原は来訪した。一年前、此家の主人は彼小笠原に剣を
抛つ可く熱心勧告したが、一年後の今日、彼は陸軍部内の依怙情実に愛想をつかし疳癪を....
「殺人鬼」より 著者:浜尾四郎
々衰えて来た。ことに、脅迫状を受け取つてからは一層それがひどくなつてついには職を
抛つようにさえなつた。ところで一番賢明で元気だつたひろ子が、家庭の秘密を嗅ぎ出し....
「婦人と思想」より 著者:与謝野晶子
て行く。自己を理解すれば他人の思想をも理解が出来て、其処に正しい譲歩が双方の非を
抛つことに由って成り立つ。そうして自己を提げて社会に順応し活動するに必要な自然の....
「金狼」より 著者:久生十蘭
用でなく、あたしをそこまで逃がすつもりだったのだ。こうするためには彼は地位さえも
抛つ気かもしれない。もしそうなら、……こんな無益な犠牲と努力をやめさせなくてはな....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
ては、無限の理想の前にはそれらの眼前の現実の価値を泡一つほどにも思わず、未練なく
抛つ心構えが出来ております。 また仏教の教養は、精神肉体の蟠りを取り去るのです....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
節語りに、東国|訛りが抜けぬといっては、お手の中啓(半開きの扇)を、この盲の顔へ
抛つけられたり……」 「オオ、そのように、おきびしいのか」 「それくらいはまだ、....