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抛擲
「抛擲〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
抛擲の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「文章」より 著者:芥川竜之介
と呼ばれる副校長の役をしているのである。保吉はやむを得ず弔辞に関する芸術的良心を
抛擲《ほうてき》した。
「資性《しせい》穎悟《えいご》と兄弟《けいてい》に友《ゆ....
「演技指導論草案」より 著者:伊丹万作
たなければならない。そしてそのためには仕事自体の持つ形式的な優位性などはすっかり
抛擲してしまうほうがいい。そして微量でもいいから自分一個の実力による権威ができあ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
の開始と同時に、ある一つの遠心力が働いて、そうしてその力が、関係者の圏外はるかへ
抛擲してしまった一人があったのですよ。僕は、最初この館に一歩踏み入れたとき、すで....
「蜘蛛」より 著者:甲賀三郎
識を獲得せられるのはなんでもないことだった。私は一二度博士がなぜ専門の物理化学を
抛擲して、とつじょ蜘蛛の研究に従事せられたのかということをきいてみたが、博士は笑....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
執るなぞ無用である、との説に関し、自身の懊悩を述べ、自分の様な鈍根の者は、一切を
抛擲して先ず神を見る可く全力を傾注する勇気が無い、と嘆息して帰った。
其後久し....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
もお前は産みの母の呪詛の犠牲になっているばかりか、今や新しく種族の犠牲にその身を
抛擲とうと心掛けている」 「種族? 種族? 種族とは?」 「お前の属する種族の事....
「艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
。」 M氏の言葉には、自然物に親んで、自分の心を癒そうとするもののみが知る愛と
抛擲とがあった。 私が糸瓜の長さを測ってみようともしないのは、今年のものは去年....
「社会時評」より 著者:戸坂潤
いずれにしても患者達である。 精神病では治療主義の採用へ、癩病でさえ監置主義の
抛擲へ、向って来るようだが、マルクス主義もどうやら一種の病気として取り扱われ始め....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ると、駒井の知識慾が、そういうふうに刺戟を与えたから、彼は暫く、軍事科学の書物を
抛擲《ほうてき》して、専《もっぱ》ら、キリスト教の書物を読むことになったのです。....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
のために無理無態に駕籠の中に押込まれて、担ぎ去られる瞬間でしたから、すっくと熊を
抛擲《ほうてき》して立ち上りました。 しかし、この際、米友の責任感としては、前....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
でもしたように、腹立たしく思い出したものと見える。 かくて、彼等は測量のことも
抛擲《ほうてき》して、岩角に立って、黒灰浦の方面ばかりを激昂する面《かお》で見つ....
「私の活動写真傍観史」より 著者:伊丹万作
かと思うと間髪を入れずして射撃手の席に座を占めている。白い煙。砲車の逆行。薬莢の
抛擲。弾薬の運搬。ああ。見ていて眼が痛くなるほどの早さである。もうそれは人間業で....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
夕食後の上等なクラレット★の一罎は、赤い石炭の中を掘る人に、ともすれば仕事を
抛擲させがちであるからということの他には、何の害もしないものである。ロリー氏は永....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
たと見える」 ラシイヌは心でこう思って飽気ないような表情をしたが、ダンチョンを
抛擲っても置けないので、彼を旅宿まで運ぶための自動車を探しに街の方へ、大速力で走....
「年賀郵便」より 著者:岡本綺堂
いよいよ激増して、松の内の各郵便局は年賀郵便の整理に忙殺され、他の郵便事務は殆ど
抛擲されてしまうような始末を招来したので、その混雑を防ぐために、明治三十九年の年....