抛棄[語句情報] »
抛棄
「抛棄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
抛棄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
えつ》する自然の神秘を力説したのである。つまり博士自身の信用の代りに医学の信用を
抛棄《ほうき》したのである。
けれども当人の半三郎だけは復活祝賀会へ出席した時....
「映画界手近の問題」より 著者:伊丹万作
合に従業員側の行動を正当づけようと試みるものではない。たとえば仕事の途中でこれを
抛棄して他へ走るがごとき無責任な行動は社会人としても許し難いばかりでなく、それが....
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
三重にも事件の調査を行ったのであったが、いわゆる証拠不充分の理由をもって、事件は
抛棄せられたのであった。東京の諸新聞は、赤耀館事件の第一報道に大きな活字を費した....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
長く且ついろいろと苦しみながら遂行して来たが、今やお前たちに対する安全保証の任を
抛棄するの已むなきに至った。 おん身らは、死生を超越せねばならなくなったのだ。....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
の両日に前穂高の北尾根を登り、奥穂高へ辿る途中において凍傷にかかり、槍ヶ岳方面を
抛棄して穂高小屋から下ったのである)。以上冬期でないものおよび単独行でないもの(....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
兵士たちは、又、吹き出しながら起きあがった。 張宗昌と孫伝芳は、戦わずに泰安を
抛棄した。そして界首の線によって一時を支えようとした。 しかし、黄河を迂回して....
「黄鳥の嘆き」より 著者:甲賀三郎
止っていた間でも、僕はそう思っていたのだから、今や僕が二川家に対して、その権利を
抛棄すべきであることが、はっきりした場合、一層そうしなければならない筈なのだ。 ....
「火葬国風景」より 著者:海野十三
い――彼はムカムカとした。 (どうなと勝手にしろ!) 彼は一切の反抗と努力とを
抛棄した。もうこうなっては、藻掻けば藻掻くほど損だと知った。そう諦めると、俄に疲....
「雪たたき」より 著者:幸田露伴
れた小汚い物を暫時にせよ被ていたのが癇に触るので、其物に感謝の代りに怒喝を加えて
抛棄てて気を宜くしたのであろう。もっとも初から捨てさせるつもりで何処ぞで呉れ、捨....
「風と光と二十の私と」より 著者:坂口安吾
という形態の上にあったので、そして内心は世を捨てることが不安であり、正しい希望を
抛棄している自覚と不安、悔恨と絶望をすでに感じつづけていたのである。まだ足りない....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
は敗戦後の日本に、二つの優秀なことがあったと思う。一つは農地の解放で、一つは戦争
抛棄という新憲法の一項目だ。 農地解放という無血大革命にも拘らず、日本の農民は....
「我が人生観」より 著者:坂口安吾
はない。それを充したり満足することができないものだ。肉慾に絶望して、肉慾の実行を
抛棄しても、肉慾から解放されることはできないものだ。それは遁世しても真の孤独をも....
「白髪鬼」より 著者:岡本綺堂
う思い切って帰郷して、なにか他の職業を求めることにしろ。お前として今までの志望を
抛棄するのは定めて苦痛であろうと察せられるが、お前にばかり強いるのではない、わた....
「わが妻の記」より 著者:伊丹万作
かし、そのようなことは所詮人間の力でできることではないと悟つてからはむだな努力を
抛棄したから、今ではほとんどけんかがなくなつてしまつた。 つまり、亭主というも....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
校長|高楠と衝突して心中不愉快に堪えられなかった際だったから、決然語学校の椅子を
抛棄して出掛ける気になった。多くの友人の中には折角足場の固くなり掛けた語学校の椅....