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抜からぬ顔
「抜からぬ顔〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
抜からぬ顔の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
であろう。 この立合をながめていたもののなかに、一人の物好きがあります。最初は
抜からぬ顔で人の後ろに立っていたが、ジリジリと一足前へ、二足前へ、余の連中が一寸....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
だろう」 「冗談《じょうだん》じゃない」 一座は呆《あき》れ返りました。神尾が
抜からぬ顔でいうものだから、冗談とも思われないので、また呆れました。 そんなら....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
せられて、それで腹が満ちたりと喜んでいる。それよりか悲痛にして、なお滑稽なのは、
抜からぬ顔で行燈から出て来たピグミー先生で、得意の鼻をうごめかしながら、 「どう....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
全くの新顔で、そうして、従来とは全く異例な弁信法師が、一人でこの大浴槽を占領し、
抜からぬ顔で、温泉浴と洒落《しゃれ》こんでいる。 そうでなくてさえたまらない、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
提灯《ちょうちん》をさげて、尻はしょりで、盥《たらい》から跣足《はだし》のままで
抜からぬ顔で、火元へ出かけようとするから、玉屋のあだっぽい飯盛《めしもり》が、飛....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
が一人、のこのこと歩いてくるのは、「人間ですよ」と自ら保証した通り、人間が一人、
抜からぬ顔をして現われて来ました。 「一体、どうしたんです、旅のお客さん、今時分....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
はいり」 と言いました。 「はい、その金公でございます」 お許しが出たと見て、
抜からぬ顔で障子を引開けて、ぬっと突き出した金公を見ると、どこで工面《くめん》し....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
す。 しかし尋ねられた老人は、駒井にそんな思惑外れがあろうとは思われないから、
抜からぬ顔で、 「はいはい、今年八十六でございます」 「八十六!」 で、駒井が....
「斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
内した時にいうと、「だから君の下宿のお膳を一生懸命研究しているじゃアないか、」と
抜からぬ顔をして冷ましていた。それでも西洋料理は別格通でなかったと見えて、一向通....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
い、さあ太夫は紹由が貰うて行く」
吉野太夫の手を自分の胸に納めて、この古武者、
抜からぬ顔して起ちかけた。
光広はおどろいて、手の杯をこぼしながら下へ置....