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抜く
「抜く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
抜くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「影」より 著者:芥川竜之介
環が嵌《はま》っている。
「じゃ今夜買って頂戴。」
女は咄嗟《とっさ》に指環を
抜くと、ビルと一しょに彼の前へ投げた。
「これは護身用の指環なのよ。」
カッフ....
「羅生門」より 著者:芥川竜之介
勢いよく燃え上り出していたのである。
下人には、勿論、何故老婆が死人の髪の毛を
抜くかわからなかった。従って、合理的には、それを善悪のいずれに片づけてよいか知ら....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
き》に光っているせいか、一目にもすぐに見分けられた。
大男は腰の剣《つるぎ》を
抜くと、無造作《むぞうさ》にそれを鍔元《つばもと》まで、大木の根本へ突き通した。....
「或る女」より 著者:有島武郎
った。二週間に余る苦心の末にそれはあらかたでき上がった。藍の地に簡単に白で模様を
抜くだけならさしたる事でもないが、葉子は他人のまだしなかった試みを加えようとして....
「或る女」より 著者:有島武郎
、熱に浮かされて見さかいのなくなっている貞世を、継母《ままはは》がまま子をいびり
抜くように没義道《もぎどう》に取り扱った。そして次の瞬間には後悔しきって、愛子の....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
呼立て申して失礼ですが、家内が病気で居ますんで、」と、手を伸して、巻莨をぐっ、と
抜く。 「時に、いかがでごわりまするな、御令室御病気は。御勝れ遊ばさん事は、先達....
「三つの宝」より 著者:芥川竜之介
あ尋常に勝負をしよう。わたしの剣は鉄でも切れる。あなたの首位は何でもない。(剣を
抜く) 王女 (立ち上るが早いか、王子をかばう)鉄でも切れる剣ならば、わたしの胸....
「親子」より 著者:有島武郎
の役目に対して無能力者だと裏書きされているのと同様になる。彼はこれらの関係を知り
抜くことには格別の興味をもっていたわけではなかったけれども、偶然にも今日は眼のあ....
「江戸か東京か」より 著者:淡島寒月
この江戸と東京との過渡期の繁華は、前言ったように、両国が中心で、生馬の眼をも
抜くといった面影は、今の東京よりは、当時の両国に見られました。両国でも本家の四ツ....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
方に、美しい女と紳士の縁台がある。 まだ顔を見せないで、打向った青行燈の抽斗を
抜くと、そこに小道具の支度があった……白粉刷毛の、夢の覚際の合歓の花、ほんのりと....
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
もかかわらず、その人物は、人々が騒いで掛けた革鞄の手の中から、すかりと握拳の手を
抜くと斉しく、列車の内へすっくと立って、日に焼けた面は瓦の黄昏るるごとく色を変え....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
の絵を、絵で見るじゃありませんか。」 「あそうか、清麗|楚々とした、あの娘が、引
抜くと鬼女になる。」 「戻橋だな、扇折の早百合とくるか、凄いぞ、さては曲者だ。」....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
見送りもせず、夫人はちょいと根の高い円髷の鬢に手を障って、金蒔絵の鼈甲の櫛を
抜くと、指環の宝玉きらりと動いて、後毛を掻撫でた。 廊下をばたばた、しとしとと....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
り輝いている。日筋が蒼天に流れわたって、ふり仰ぐ真上にあかあかと見渡される。群を
抜く鋒杉が見えると思うと茜色に梢を染められ、それがまた非常に鮮かに虚空にうかんで....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
遺風と信ずる。精神上から言ってもまた実戦の必要から言っても、号令をかける場合刀を
抜く事は速やかに廃止する事を切望する。猥りに刀を抜き敵に狙撃せられた例が少なくな....