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抜く手も見せず
「抜く手も見せず〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
抜く手も見せずの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「村の怪談」より 著者:田中貢太郎
も微笑を見せて女の来るのを待っていた。 女の艶かしい顔が眼の前にあった。若侍は
抜く手も見せず、腰の刀を抜いて斬りつけた。女は声を立てずに倒れたが、それはまぎれ....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
したから転がって、灯火の消えるのを合図にお菊の胸倉を捉って懐に匿し持ったる合口を
抜く手も見せず、喉笛へプツリーと力に任せて突込む。 菊「キャー」 と叫びながら....
「斬られたさに」より 著者:夢野久作
知れぬ思いに燃え立つ妖火のような頬の輝やき、眼の光り……と見るうちに懐中の匕首、
抜く手も見せず、平馬の喉元へ突きかかった。 「……アッ。心得違い……めさるなッ」....
「白くれない」より 著者:夢野久作
ふ間あらせず。背後の上り框に立架けたる錫杖取る手も遅く、仕込みたる直江志津の銘刀
抜く手も見せず。真正面より斬りかゝる。その時、和尚の手中の火打種子島、パチリと音....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
やられてしまったなと思いました。それと見て、先へ一足進んでいた仏頂寺弥助が、刀を
抜く手も見せず竜之助に飛びかかろうとして、急に飛びのいてしまいました。 三谷一....
「松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
を切って周玄を斬る積りか、よい/\此の婦人は己が貰った」 と傍にある刀の小柄を
抜く手も見せず打った手裏剣は、彼の女の乳の上へプツリと立ちましたから、女はひーと....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
の鬼と、床の間に、重代の黄金づくりの長船が、邪気を払うといって飾ってあったのを、
抜く手も見せず、颯と真額へ斬付ける。天窓がはっと二つに分れた、西瓜をさっくり切っ....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
かった。
しかも! 諏訪栄三郎、飛び出すとともにはやひとり斬り捨てているのだ。
抜く手も見せず……ということをいうが、ちょうどそれ。
声高に話し合いながら三々....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
ていたが、
「何イ?」
おめくより早く、短気丹波といわれた男、腰なる刀の小柄を
抜く手も見せず、しずかに庭を行く植木屋めがけて、投げつけました。
躍るような形....
「人面瘡物語」より 著者:田中貢太郎
、それほど殺してもらいたいなら、望みどおりに殺してやる』 と、云って刀架の刀を
抜く手も見せずに打ちおろすと、女子の首は前に飛んだが、それが落ちた処を見ると、顔....
「怪しの者」より 著者:国枝史郎
した。 「あッ」 これはわたしが言ったのです。 ご家来が編笠をうしろへ刎ね、
抜く手も見せず、職人風の男の右の肩を、袈裟がけにかけたからで。 職人風の男は倒....
「落語・教祖列伝」より 著者:坂口安吾
深遠なのである。さて、槍よりも短いところへ入ってしまえば何でもない。お尻の十手を
抜く手も見せず槍を叩き落して、豪傑の片手をとるや十手を当てがっと抱えこむ。逆をと....
「我が円朝研究」より 著者:正岡容
ち二人を討ち果たして一切の禍根を除こうと決心してやってきたからである)。そうして
抜く手も見せず斬り付けてくると「葺下しの茅葺屋根ゆえ内法《うちのり》が低いから、....