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「抜け出す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

抜け出すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
尾生の信」より 著者:芥川竜之介
の魂は、寂しい天心の月の光に、思い憧《こが》れたせいかも知れない。ひそかに死骸を抜け出すと、ほのかに明るんだ空の向うへ、まるで水の※《におい》や藻《も》の※が音....
両国の秋」より 著者:岡本綺堂
人間ではなかった。あとにもさきにもたった一度お絹と恋に落ちて、その罠《わな》から抜け出すことができないで、今ももがいているではないか。それがまた別の新しい罠にか....
深夜の市長」より 著者:海野十三
、いいきっかけが、向うの方からお出でなすったぜ。さあ、このどさくさに紛れて、早く抜け出すんだ」 そういった「深夜の市長」の声に、僕は思わず躍りあがった。最早こ....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
馬を龍神の社前に据えつけて、ともかくもきょうの式を終りましたが、もしやこれもまた抜け出すようなことはないかと、黒太夫の家からは朝に晩に見届けの者を出していました....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
うか。そうしたらきっとあの男は、僕等の帰った頃を見計って、横廊下に当る聖趾窓から抜け出すだろう。そして、大洋琴の中にでも潜り込んで、それから催眠剤を嚥むに違いな....
単独行」より 著者:加藤文太郎
はピッケル以外に適当な道具が無かったため実に労が多く、三時間ほどもかかってやっと抜け出すことができた。しかしもうそのときは夕闇がせまり、その上雪まで降り出してき....
千早館の迷路」より 著者:海野十三
“島”というやつが用意されてあるんです。この島へ迷い込んだが最後、なかなかそこを抜け出すことが出来ないんです」 「わたくしには、よく意味がのみこめませんけれど…....
流線間諜」より 著者:海野十三
を確かめかねた。 もちろん帆村はその機会を逃がしてはならぬと思った。しかし室を抜け出すには生憎彼の位置が入口より遠い奥にあるので、たいへん勝手が悪い。といって....
天草四郎の妖術」より 著者:国枝史郎
ポッツリ点が出来ましたが夫れは何うやら穴らしく、そこから一人の老人がスッポリ体を抜け出すと橋の上へ下り立ちました。 だんだん此方へ遣って参ります。 見ている....
夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
いた綴りを抜き出した。そして、それを卓上に置き、続けた。 「もとより画中の孔雀が抜け出すと云う道理はないけれども、それが孔雀明王の出現と云えるのには他に理由があ....
経帷子の秘密」より 著者:岡本綺堂
ていたが、暮れ六つごろからやんだ。店口は人出入りが多いので、お峰親子は裏木戸から抜け出すと、文次郎は路地口に待合せていて、二人の先に立って行った。高輪の海岸は目....
夜光虫」より 著者:織田作之助
をすると豹吉はやがてどこをどう抜けたか、固く扉を閉した筈の会館の中から、するりと抜け出すことに成功した。 昨夜の雨はもうやんでいた。 午前六時といえば、この....
小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
「侍従どの。」と、采女はおどろいて呼んだ。 その声を聞き付けて、小坂部も穴から抜け出すと、いつの間に帰って来たのか、眇目の男は紅葉の木の下にたたずんで、この不....
註文帳」より 著者:泉鏡花
、がたがたがたがた、 「大変だ、作平さん、大変だ、ひ、ひ、人殺し!」 「貧乏神が抜け出す前兆か、恐しく怯されるの、しっかりさっししっかりさっし。」といいながら、....
」より 著者:カフカフランツ
の裏通りで雪のなかに埋まってしまったではないか。バルナバスに助けられてこそやっと抜け出すことができるのだ。そう感じたものの、Kはこうした心配を今は捨て去った。ま....