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抜手
「抜手〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
抜手の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「溺れかけた兄妹」より 著者:有島武郎
か、すこしも私には分りません。手足があるのだかないのだかそれも分りませんでした。
抜手《ぬきて》を切って行く若者の頭も段々小さくなりまして、妹との距《へだ》たりが....
「渾沌未分」より 著者:岡本かの子
て来る。 行く手に浮寝していた白い鳥の群が羽ばたいて立った。勇み立って列の中で
抜手を切る生徒があると貝原が大声で怒鳴った。 「くたびれるから
抜手を切っちゃいか....
「西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝」より 著者:三遊亭円朝
切り、沼の中へ逆とんぼうを打って陥りましたが、此の車夫は泳ぎを心得て居ると見え、
抜手を切って岸辺へ泳ぎ附くを、又作が一生懸命に車の簀蓋を取って、車夫の頭を狙い打....
「読書法」より 著者:戸坂潤
異った立場にある人はその人々で、各々のイデオロギー実現のために、生の激流に投じて
抜手を切って進むことが勧められる。 処で今日、均衡主義の経済哲学の多くは現象主....
「窓」より 著者:鷹野つぎ
いい日で、私は病児の髪の伸びたのも苦にするほど何か楽しい母ごころに、不幸な濁流に
抜手をきっているような、さなかの逼苦も柔らげられるのであった。病児も笑顔を見せた....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
照っている。 彼は海面に波紋をたてぬように静かに静かに泳いでいる。クロールや、
抜手にくらべるとはなやかではないが、この水府流の両輪伸こそは遠泳にはもってこいの....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
せん」 「いや、いや、与八さんと一緒でなくては……」 この時の郁太郎は、激流を
抜手を切って溯《さかのぼ》るような勢いで、誰がなんと言ってもかまわず、その遮《さ....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
万事を忘却して「|頭から」にそのさくらの内部へ dive する。おみおつけの海に
抜手を切るべく、お米の御飯の山を跋渉すべく、はたまたお醤油の滝に浴みすべく――。....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
、船は波に乗って颯と退いた。同時に滝太郎の姿も水に沈んだが、たちまち水烟を立てて
抜手を切ったのである。拓とともに助かったのは言うまでもない。 その夜湯の谷で溺....
「怪奇人造島」より 著者:寺島柾史
れば、船に泳ぎついて、あの怪老人を退治てやらねばならん」 僕は、巨浪に逆って、
抜手を切った。水夫は、そのあとを追って、 「だが、船は、潮流に乗って、あの速さで....
「わが戦争に対処せる工夫の数々」より 著者:坂口安吾
のとき、佐渡出身の斎藤兼吉といふ人が始めてオリンピックの水泳に自由型へ出場して片
抜手で泳いだ。このときハワイのカハナモクのクロールに惨敗し、クロールといふバタ足....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
ある。 内田、斎藤、両水泳選手は、アントワープのオリムピックに於て、自由形を片
抜手で泳いだ。自由型とある通り、どんな泳ぎでもよいのである。このとき、ハワイのジ....
「地上」より 著者:島田清次郎
を運動場の一隅にあらわした。じっとしておれない気がした。あらゆる危険に飛び込んで
抜手をきって切り抜けて見せたい。そして彼のこの成長は深井にはやや怕い気がしたが、....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
て貰うものかよ。これ、此通り、泳げるわいな。人喰い藻が何んだえ」 小虎は華手に
抜手まで切って見せた。併しそれは僅かの間であった。坊主の云ったのは確実で、忽ち細....
「粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
ぎねえ」 と向岸へ急ぎますと、勇助は泳ぎを知らん処では有りません至って上手で、
抜手を切って泳ぎながら、 勇「己を欺いて水中へ落し入れやアがッて、此の大悪人め、....