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「抜足〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

抜足の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
、と呆れたように莞爾して、忍んで段を上って、上り口の次の室の三畳へ、欄干を擦って抜足で、両方へ開けた襖の蔭へ入ったのを、両人には気が付かずに居るのである。 と....
星あかり」より 著者:泉鏡花
が高いので、夜更に里人の懐疑を受けはしないかという懸念から、誰も咎めはせぬのに、抜足、差足、音は立てまいと思うほど、なお下駄の響が胸を打って、耳を貫く。 何か....
三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
げに隠れるようにして何か読んでいる。それがお父さんの注意をひいたので、高松さんは抜足をして竊とそのうしろへ廻って行きました。 日を避け、人目をよけて、お近さん....
青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
うですから、わたくしも少し起き返って、じっと耳をすましてうかがっていますと、父は抜足をして庭へ出て、離れの方へ忍んでゆくようです。 そうして四畳半の戸をしずか....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
―嬢様が手本だよ。はってな、今時分、真暗だ。舐殺されはしねえだかん、待ちろ。(と抜足で寄って、小屋の戸の隙間を覗く。) 蟹五郎。朱顔、蓬なる赤毛頭、緋の衣したる....
妖僧記」より 著者:泉鏡花
大地をひしと打敲きつ、首を縮め、杖をつき、徐ろに歩を回らしける。 その背後より抜足差足、密に後をつけて行く一人の老媼あり。これかのお通の召使が、未だ何人も知り....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
りそうな拳を二つ、耳の処へ威すがごとく、張肱に、しっかと握って、腰をくなくなと、抜足差足。 で、目を据え、眉を張って、行燈に擦寄り擦寄り、 「はて、何に映った....
化銀杏」より 著者:泉鏡花
入へ入れておく。あとで旦那が留守になると、自分でそッと押入から出て来てね、そッと抜足かなんかで、私のそばへ寄って来ちゃあ、肩越に顔を覗いて、(母様、父様が居ない....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
もの。」 「ちっとも恐いことはない。私がここに見ていますよ。」 われは立放れて抜足しつつ、小路の中を横ぎりたり。見返れば姉上の立ちたまう。また見れば、小親|居....
水鬼」より 著者:岡本綺堂
暗で、たった一人、芒のなかに小さい提灯をつけている夜釣りの人がみえたので、そっと抜足をして近寄ってみると、それはまるで人ちがいのお爺さんなので、わたくしは無暗に....
指輪一つ」より 著者:岡本綺堂
らしく、しかも風呂場の中から洩れてくるらしいので、僕もすこし不安を感じて、そっと抜足をして近寄って、入口の戸の隙きまからうかがうと、内は静まり返っているらしい。....
」より 著者:秋田滋
て歩いてゆくと、まもなく、マランヴェール路の方角にあたって、幽かな灯影が見えた。抜足差足、跫音を忍ばせて墓石と墓石のあいだを歩いて行き、彼は眼を覆わしめるような....
南極の怪事」より 著者:押川春浪
いしが、さりとて海賊等がいかになりしかを知らぬうちは安心できず、ついに意を決し、抜足差足して昇降口の方に向えり、梯子を半ば昇りて耳を澄ますにやはり人声は聴えず、....
多神教」より 著者:泉鏡花
神の御つげのある折じゃと申す。神慮のほども畏い。……眠を驚かしてはなるまいぞ。(抜足に社前を横ぎる時、お沢。うつつに膝を直さんとする懐中より、一|挺の鉄槌ハタと....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
な、小児のような者で、矢はり真直に立って歩いて行く。はて、不思議だと思いながら、抜足をして窃と尾けて行くと、不意に赤児の泣声が聞えた。熟視ると、其奴が赤児を抱え....