»
抜道
「抜道〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
抜道の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「高野聖」より 著者:泉鏡花
る人が、飛騨《ひだ》の山では蛭が降るというのはあすこでござんす。貴僧《あなた》は
抜道をご存じないから正面《まとも》に蛭の巣をお通りなさいましたのでございますよ。....
「火星兵団」より 著者:海野十三
とですね。あそこは、かくれるのに持って来いのところです」
「洞窟と岬との間には、
抜道のようなものがありましたね」
「ああ、ありますとも。五つの扉をあけないと通れ....
「白蛇の死」より 著者:海野十三
方にいるんじゃないかと思ったんで、変電所へ踏込む積りで、橋の袂を右へ、隅田駅への
抜道をとりました。多分二時を少し廻った時刻でしたが、すると彼処に御存知の様に、何....
「石塀幽霊」より 著者:大阪圭吉
を追って行く。差配人が向うから来る。ところが犯人がいない。そこで、たったひとつの
抜道である秋森家の勝手口を覗きこむ。すると、犯人の足跡がある。ところがだ。その足....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
のなのではないでしょうか。お母さんが僕に曾て小さい時説明して呉れたことは、もっと
抜道なくベルグソンが彼のエヴォリューション・クレアートリスに説いています。万物は....
「倫敦の一夜」より 著者:岡本綺堂
、宮城の森に反響する歓呼の声はしばらく止まなかった。 帰りはなるべく混雑の少い
抜道を択んで、もとのオックスフォード・サアカスまで帰りつくと、夜風の寒いのが初め....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
と云うことは知っているが……」 「実はたった今もお渡ししましたんで。法度は法度、
抜道は
抜道、ハイハイお渡しいたしますとも」 爺さんは船を出し、林蔵を乗せて向こ....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
まり行けば鹿沼へ出ます、それより先は田沼道奈良村へ出る間道、人の目つまにかゝらぬ
抜道、少しも早く逃げのびて、何処の果なりとも身を隠し、悪い事をしたと気がつきまし....
「新生」より 著者:島崎藤村
るように彼の足許《あしもと》へ落ちるのもあった。
その畠は一方は町はずれの細い
抜道に接し、他の一方は田舎風の赤い瓦屋根《かわらやね》の見える隣家の裏庭に続いて....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
ることも出来た。この事は黙許になっていた。その偽手形も買わぬ者は関所を通らずして
抜道を通った。なんでも手形を持たぬ町人百姓が関所に来ると、役人は『これからどちら....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
していた。
「追えっ。遠くへは、行くまい。血の跡があろう。宿の者を起して、街道、
抜道へ、すぐ手配りするよう」
供の人々は、一時に、廊下へ出た。調所は、寝床の上....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
るのか行先が分らぬというので、近所のものは大方切支丹屋敷のあった頃掘抜いた地中の
抜道ではないかなぞと評判した。 この茗荷谷を小日向|水道町《すいどうちょう》の....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
んすい》の慾が強くて、ややもすれば深き眠りに落ちようとする。 ここは甲州入りの
抜道《ぬけみち》、滅多《めった》に人の通るところでないことが、寝ている竜之助のた....
「一九三二年の春」より 著者:宮本百合子
つある政治的経験の深刻な階級的意味を啓蒙し、専制と恐慌、帝国主義戦争の重圧からの
抜道はプロレタリアにとって何処にあるかということを明らかにして来ている。弾圧は決....
「私も一人の女として」より 著者:宮本百合子
たとき、その精神的感動と緊張とが深大であればある程、感覚的な放散がなければ生きる
抜道がない事さえもある。いずれにせよ、私は卑俗なセンチメンタリズムで松本氏が自繩....