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抱
「抱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
抱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
《なんにょ》が二人|硝子《ガラス》戸の中へはいって行く。女はマントルを着た子供を
抱《だ》いている。そのうちにカッフェはおのずからまわり、コック部屋の裏を現わして....
「犬と笛」より 著者:芥川竜之介
、
「御姉様。」
「妹。」と、二人の御姫様は一度に両方から駈けよって、暫くは互に
抱《だ》き合ったまま、うれし涙にくれていらっしゃいました。髪長彦もこの気色《けし....
「或敵打の話」より 著者:芥川竜之介
せいかっこう》はよく似寄っていた。その上|定紋《じょうもん》は二人とも、同じ丸に
抱《だ》き明姜《みょうが》であった。兵衛はまず供の仲間《ちゅうげん》が、雨の夜路....
「馬の脚」より 著者:芥川竜之介
だ! それよりもお前、ここへ来て俺の体を抑《おさ》えていてくれ。」
彼等は互に
抱《だ》き合ったなり、じっと長椅子に坐っていた。北京《ペキン》を蔽《おお》った黄....
「アグニの神」より 著者:芥川竜之介
も好いことです。さあ、早く御逃げなさい」 遠藤はもどかしそうに、椅子から妙子を
抱き起しました。 「あら、嘘。私は眠ってしまったのですもの。どんなことを言ったか....
「飯田蛇笏」より 著者:芥川竜之介
やつはいやに傲慢な男です」とも云った。僕は悪口を云われた蛇笏に甚だ頼もしい感じを
抱いた。それは一つには僕自身も傲慢に安んじている所から、同類の思いをなしたのかも....
「狂女」より 著者:秋田滋
るらしく、ただ寝かされたままじいッとしていた。一人の兵士が、女の衣類をいれた包を
抱えて、その後からついて行った。 例の将校はしきりに自分の両手を擦りながら、こ....
「墓」より 著者:秋田滋
た。わたくしは捕ってしまったのです。 わたくしは、その晩、夜一夜、ちょうど愛の
抱擁をした人間が女の体臭を大切にもっているように、その腐肉の悪臭、腐って行くわた....
「ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
れている若々しい額、やさしく撫でる手、物云う眼、皷動する心臓、唇を約束する微笑、
抱愛を約束する唇!――そして最初の接吻、思わず眼を閉じさせる、あのいつ終るとも見....
「初雪」より 著者:秋田滋
は少しばかり大きくなった子供を連れて、希望にもえ、愛情に酔い、幸福にひたった心を
抱いて、再びこの地を訪れるであろう。しかるに自分はどうか。名ばかりながら今は生き....
「良夜」より 著者:饗庭篁村
うに、幾度か欄干へ手をかけて幾度か躊躇し、やがて下駄を脱ぎすつる様子に走り倚りて
抱き留めたり。振り放さんと※けば、「さようでもあろうがそれが心得違いだ」と争うと....
「親ごころ」より 著者:秋田滋
が代って自分たちの永い永い間の心痛と苦労のかずかずを語りおわると、親子はもう一度
抱き合った。その晩は、いつまでもいつまでも起きていた、誰も寝ようとしなかった。自....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
か好い、どんなにか珍らしいものに相違なかろう。 八月二十二日―― 私はもう辛
抱が出来ない。ためしにまず小鳥を一羽殺してみた。 下男のジャンが、ひわを一羽籠....
「夢の如く出現した彼」より 著者:青柳喜兵衛
、白波たつ波頭を蹴散らし蹴散らし、いささかのセンチを目に浮べて、悲喜交々、闘志を
抱いて渡る関門の海峡を、逆に白波を追っていた連絡船の中で、夢野久作の正体を発見し....
「三人の百姓」より 著者:秋田雨雀
そんだ、そんだ。」 と同意を表しました。 二人はその晩、拾った赤児を替り番子に
抱いて寝ました。赤児の柔かい肌が触れると、二人とも何んとも言い表わしがたい快感を....