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抱え込む
「抱え込む〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
抱え込むの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「闖入者」より 著者:大阪圭吉
じ風景を見たと云い出した。そして呆気にとられている人々を尻目にかけ、鞄を片付けて
抱え込むと帽子を無雑作に冠りながら、振り返って吐き出すように云った。 「……です....
「伸子」より 著者:宮本百合子
「――今夜一緒に帰りましょう」 伸子がはかばかしく返事をしないので、佃は彼女を
抱え込むようにして顔を近づけながら、繰り返した。 「ね、帰るでしょう?」 即答....
「二重心臓」より 著者:夢野久作
云ううちに文月巡査は、眼前の机の上に身体を投げかけて両肱を突いた。シッカリと頭を
抱え込むと、溜息と一所に云った。 「スッカリわからなくなっちゃった」 「何がわか....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
米友がしょんぼりとながめながら、膝をちょこなんと組んで、向う脛《ずね》のところを
抱え込むようにして坐り込んだまま、無言なのです。 「ごらんなさい、米友さん、あな....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
て、手を取った。婆さんは背を支えて、どッさり尻をついて膝を折りざまに、お米を内へ
抱え込むと、ばったり諸共に畳の上。 この煽りに、婆さんが座右の火鉢の火の、先刻....
「前記天満焼」より 著者:国枝史郎
だ! こうなるのだ!」 ノッと立ち上った鮫島大学は、巨大な鳥が小雀を、翼の下へ
抱え込むように、扇女を両腕へかい込もうとした。 だがその途端に一方の壁の、真中....
「虎」より 著者:岡本綺堂
しげる。 「どうして連れて帰ったか、そこまでは聞き洩らしたが、その大猫を江戸まで
抱え込むのは、一仕事であったに相違あるまい。ともかくも本所の家へ帰って来ると、弟....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
、心静かに待とうじゃないか!……何でえ、しっかりしろよ! (いきなり両手で両膝を
抱え込む) 清原 (……これも文麻呂の真似をして、両膝を
抱え込む) 長い、気まず....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
よ。 何を悟ったのか、ケケッケケッ、羽ばたきをしてる奴を引掴んで両手で袖の下へ
抱え込むと、雨戸が一枚ばったり内へ煽ったんですが、赫として顔が熱かったのも道理、....
「一握の髪の毛」より 著者:田中貢太郎
下の曇の深い肉の落ちた顔が気になっていた。 「横になったら、どう」 女は章一を
抱え込むようにして横に寝かそうとした。章一は眼をつむって女のするがままになってい....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
ついた青銭を、掌のうえでかぞえた。西瓜売りにわたして一個の西瓜と交換した。それを
抱え込むと、またしばらく、石に倚りかかったまま、ぐんなり俯向いているのである。 ....
「魚紋」より 著者:吉川英治
かんだ。 『七百両』 と、水の中で彼の心臓はさけんだ。 だが――それを確乎と
抱え込むと、今度は、体が彼の思うように浮かなかった。金が、何尺か河底の沼土を離れ....