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抱合
「抱合〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
抱合の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
った千草色の半股引で、縁側を膝立って来た――婦たちは皆我を忘れて六畳に――中には
抱合って泣いているのもあるので、惣助一人三畳の火鉢の傍に、割膝で畏って、歯を喰切....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
足ができたのである。なつかしいという形のない心が、ことばの便りをからないで満足に
抱合ができたからである。 お千代と省作との間に待ったとか待たないとかいう罪のな....
「近時政論考」より 著者:陸羯南
隠然多くの賛成者を朝野の間に博したり、何となればその全体は尊王主義と民権主義との
抱合たる姿を有すればなり。当時廟堂在位の諸公はいかなる意見を政論上に抱きたるや。....
「俳諧の本質的概論」より 著者:寺田寅彦
蕉はもう一ぺん万葉の心に帰って赤裸で自然に対面し、恋をしかけた。そうして、自然と
抱合し自然に没入した後に、再び自然を離れて静観し認識するだけの心の自由をもってい....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
したかった。生命と生命との侵徹せる抱擁を要求するならば、霊肉を併せたる全部生命の
抱合が望ましかった。この要求よりして私は女に行かねばならなかった。人格物を憧れ求....
「文士としての兆民先生」より 著者:幸徳秋水
有ること無し。地上の熱度漸く下降し草木漸く萠生し那辺箇辺の流潦中若干原素の偶然相
抱合して蠢々然たる肉塊を造出し、日照し風乾かし耳目啓き手足動きて茲に乃ち人類なる....
「今昔ばなし抱合兵団」より 著者:海野十三
半ほどたって、漸くぼんやりしたその輪郭だけがわかった。それは白人帝国が、ひそかに
抱合兵団をもって、わが国攻略を狙っているという情報が入ったため非常警戒となり、遂....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
に濡色の、二人が水の滴りそうな、光氏と、黄昏と、玉なす桔梗、黒髪の女郎花の、簾で
抱合う、道行姿の極彩色。 「永洗ですね、この口絵の綺麗だこと。」 「ええ、絵も評....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
、急にけたたましい声―― 「ござった、ござった、正体が届きましたよ、御推察の通り
抱合い心中、それそこに流れついた土左衛門とお土左がそれじゃ」 湖面を見つづけて....
「『尚書』の高等批評」より 著者:白鳥庫吉
て、中央の王座たる一つを省きたるものなるべく、漢民族の山岳崇拜の思想と五行思想の
抱合ならんか。 以上の他、易及び陰陽思想の影響と見らるゝものは少からず。例へば....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
掛って、うむ、と圧された同然に、息苦しくなったので、急いで、刎退けに懸ると、胸に
抱合わせている手が直ぐに解けず、緊着けられているような。 腕を引っこ抜く勢で、....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
けて、大勢に抱え込まれて、お綾の膝に抱かれた処は。…… (先刻、貴下が、怪い姿で
抱合っている処を蚊帳越に御覧なすった、母屋の、あの座敷です。) ッて貴婦人が言....
「狼疾記」より 著者:中島敦
れば、最後に氷の張り詰めた大地に坑《あな》を掘って、その犬と一緒に其処にはいって
抱合って死ぬことにするんだが、と、その有様を寝床へ入ってから、よく想像して見たり....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
に柄もりに袖絞るらむ。心細道岩坂|辿り、辿りついたはその松の蔭。かげの夫婦は手で
抱合うて、かくす死恥旗|天蓋と、蛇目傘開いて肩身をすぼめ、おとせ、あれあれ草葉の....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
ゃい。
古い巻物を開けて見て、方に拠って
生活の元素を集めて、あれと此とを綿密に
抱合させて御覧なさい。「何を」と云うことも
大切ですが、「奈に」と云うことが一層....