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「押える〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

押えるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
カインの末裔」より 著者:有島武郎
しつして幾らかでも納めさせようとしたが、如何《どう》しても応じないので、財産を差押えると威脅《おどか》した。仁右衛門は平気だった。押えようといって何を押えようぞ....
星座」より 著者:有島武郎
に移る質《たち》だ。人からは放漫と思われながら、いざとなると大掴みながらに急所を押えることを知っている。おぬいさんにどんな心を動かしていくかもしれない。…… ....
深夜の市長」より 著者:海野十三
僕が話をする約束だったじゃないか」 後から立ってきた速水輪太郎が、お照の身体を押えるようにして引留めた。お照はそれは邪慳に払いのけて、猟犬のように飛び出そうと....
大脳手術」より 著者:海野十三
鳴海が傍でぐうぐうと睡っていたし、家は彼の宅であった。追跡者も、遂に私の身柄を取押えることができなかったのである。一安心だ。 食堂へいって鳴海と共に朝食を済ま....
薬草取」より 著者:泉鏡花
けた、優しい顔で熟と見て、少し頬を傾けると、髪がそちらへはらはらとなるのを、密と押える手に、簪を抜いて、戦く医学生の襟に挟んで、恍惚したが、瞳が動き、 「ああ、....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
裸のご新姐の身の上を思って……」 (――語ってここを言う時、その胸を撫でて、目を押える、ことをする。) 「まぶたを溢れて、鼻柱をつたう大粒の涙が、唇へ甘く濡れま....
女客」より 著者:泉鏡花
と投げたように、片身を畳に、褄も乱れて崩折れた。 あるじは、ひたと寄せて、押えるように、棄てた女の手を取って、 「お民さん。」 「…………」 「国へ、国へ....
巴里祭」より 著者:岡本かの子
然とした明るく寂しい巴里の空を一寸見上げて深い息をした。新吉は菓子フォークで頭を押えるとリキュール酒が銀紙へ甘い匂いを立てゝ浸み出るサワラを弄びながら言った。 ....
鰻に呪われた男」より 著者:岡本綺堂
られたので、すぐに姿を隠したに相違ありません。こうと知ったらば、さっき無理にも取押えるのであったものをと、松島さんは足摺りをして悔みましたが、今更どうにもならな....
」より 著者:岡本綺堂
い。火消たちもこれには驚いた。店の者も近所の者も唯あれあれというばかりで、誰も取押える術もない。なにしろ暴れ牛は暴れ馬よりも始末が悪い。それでも見てはいられない....
恨みの蠑螺」より 著者:岡本綺堂
、狙いは狂ってそのそばにうろうろしているお杉の右の頬にあたった。あっといって顔を押える母の眼の下からも血がにじみ出した。 「お安さん。気でも違ったのじゃないか。....
豆腐買い」より 著者:岡本かの子
湯屋の内部を想像する。裸体を見られたら腰のまわりはうっちゃって置いても乳房を押える西洋の女。その乳房をみずみずしい果物の熟果のように胸にぶら下げてぷりぷり震....
取返し物語」より 著者:岡本かの子
しの苦労がある。三界無安、猶如火宅、ただ念仏のみ超世の術じゃ。さあ行こう』(涙を押える) 幸子坊『南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏』 蓮如『さあ参ろう』 (おくみ、後....
三枚続」より 著者:泉鏡花
すか、向うの嘉吉さんの所の婆さんが気が狂れて戸外へ飛び出したもんですから、皆で取押えるッて騒いだんですよ。」 とお夏は自若としていって真顔で居る、愛吉は苦笑、....
黒猫十三」より 著者:大倉燁子
であった。本庄ははッとして立ち停った。帽子を脱り、急に烈しく鳴り出す心臓の鼓動を押えるようにして、頭を下げ、慇懃に云った。 「遅刻致しまして。――お喚出しにあず....