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押出す
「押出す〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
押出すの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「酒中日記」より 著者:国木田独歩
まなんだ。母も自分には極《きわめ》て情が薄かった。 明日は日曜。同勢四五人舟で
押出す約束であるが、お露も連れこみたいものだ。 大河今蔵の日記は以上にて終りぬ....
「新生」より 著者:島崎藤村
扇子をパチパチ言わせながら、「世が世なら伝馬《てんま》の一艘《いっそう》も借りて
押出すのになあ」と嘆息する甥《おい》の太一が居る。まだ幼少《ちいさ》な泉太は着物....
「菊模様皿山奇談」より 著者:三遊亭円朝
大きいから一人の手際にはいかん、貴方そら尻を押し給え」 權「さアもっと力を入れて
押出すのだ」 殿「これ/\何を致す其様なことをせんでも宜しいよ、つか/\歩いてま....
「家」より 著者:島崎藤村
揉んでいました。それから式へ出るのは、私だけにして下さい。簡単。簡単。皆な揃って
押出すのは、大に儲けた時のことにしましょう――ねえ、姉さん」 「真実に、そうです....
「家」より 著者:島崎藤村
通しの好い簾の影で、一同揃って冷麦を食った。 「世が世なら、伝馬の一艘も買切って
押出すのにナア」 と正太は白い扇子をバチバチ言わせながら、叔父と一緒に門の外へ....
「海底都市」より 著者:海野十三
いすい》作業をやります。壁の下部に排水|孔《こう》がありますから、そこから海水を
押出すのです。ああここに工事のあらましを書いた図面がありますから、これをごらんな....
「婦人の創造力」より 著者:宮本百合子
婦人の才能を押出そうとしました。ところが、その時代はまだ婦人のそういう風な才能を
押出すということはその人が社会的に本当に独立していなければ成り立たない、親の脛を....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
もできる。どうかすると、このものを綴り合わせて浴衣《ゆかた》として着用し、街道へ
押出すものさえあるのです。
その効用の一つとして、これを即座の覆面に利用して、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
り立てるものがあります。山伏|体《てい》の男を馬に乗せて、法螺《ほら》を吹かせて
押出すのもあります。貧窮組が不得要領であった如くに、この踊りの流行も不得要領です....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
あくれてやらあ、手を出すなら出してみな、面《つら》でも腕でも持って来な、目口から
押出すほど食わしてやらあ!」 袋の結び目を手早く解いて、その両手を袋の中に突込....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
くゆっている。二面の二絃琴の間には、漢方医がもたせてあるいた薬箱が、丁度両横から
押出すようになっていて具合がよいので、薄い横とじの唄本《うたほん》をおくためにお....
「妖婆」より 著者:岡本綺堂
南と堀口も起った。 まだほかにも五、六人起ちかかったが、夜中に大勢がどやどやと
押出すのは、世間騒がせであるという主人の意見から、余一郎と神南と堀口の三人だけが....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
上へ置いた。そして、中から、箱を取り出して
「これを御覧下されたい」
右手で、
押出すと、伊集院が、将曹の前へ置いた。将曹は、蓋の梵字を暫く眺めてから、蓋をとっ....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
降って来た。 金之助も、話の変と、急な雨に、思わず顔の色を変えて唾を呑んだが、
押出すように、 「おお、雨だ。」 台の上のボオイは真先に飛び下りた、新聞を見て....
「雪の日」より 著者:永井荷風
がその前から通りがかりの人を見て、入《い》らっしゃい、入らっしゃいと、腹の中から
押出すような太い声を出して呼びかけている。わたくしは帳場《ちょうば》から火種を貰....